第5章 ヒカリの中へ
❁❁❁ 千side ❁❁❁
「Re:valeさん、お疲れ様でした!」
百「やった!1発オッケー!お疲れ様でしたぁ!」
歌番組の収録を終えて、モモと楽屋へ戻る。
お互いにカバンからスマホと取り出し、着信やラビチャのチェックをしながら衣装を脱いでいく。
やっぱり···来てない、か。
どんな仕事をしていても、時間が開けば必ずと言っていいほど···このチェックをする事が欠かせなくなっていた。
愛聖···あれから、どれだけの時間が過ぎたと思ってる?
突然いなくなった日から、僕はずっと···愛聖からの連絡を待っているのに。
待つだけじゃない。
こっちからも連絡はしてるのに、音沙汰無しの日が続いていて。
まさか、このまま万の時みたいに···
そんな気弱な考えさえ、してしまう程の時間が経っているかのようにも思える。
テーブルにスマホを置いて、胸の底から息を吐き出した。
百「ユキってば!ちょっと聞いてる?!」
「あぁ···ゴメン。ちょっと考え事してた」
ムゥ···っと眉を寄せるモモに言えば、オレと一緒にいるのに考え事するなんて、オレの事···愛してないの?!なんておどけながら言い寄ってくる。
「はいはい···愛してるよ、モモ。で、なに?」
百「なんか適当にあしらってない?!···ま、いっか。あのさユキ、オレ···ユキに聞いて欲しい事があるんだけどさ···」
「そんなに珍しい顔して、いったいなに?」
さっきまで笑ってたかと思えば、急に真剣な顔を向けてくるモモに僕も自然と構えてしまう。
百「あの、さ?帰る前に···ちょっと、トイレ行ってくる!」
「は?」
百「もうさっきから行きたかったんたけどさぁ、ユキと歩いてたらトイレ寄るの忘れちゃって!あはは!」
行って来なよ、大事が起きる前に···と、ツッコミたいけど。
「プッ、ククッ···ひ、1人で···行、ける?」
笑いの方が先に出ちゃって、それも言えず。
百「もちろん行けるって!なになに?ユキも一緒に連れションしちゃう?!」
連れ···プッ···
「いい、僕は、ククッ···平気···」
百「遠慮しなくていいのにさ?Re:valeはトイレ行くのも仲良し!みたいで!ちなみに隣同士でね!」
遠慮するわっ!
···と、自分の中でツッコミを入れる。