第4章 カケラの眩しさ
万「愛聖はどうしたい?」
万理にそう聞かれて、トクンと胸の奥が波打つ。
どうしたいかって聞かれたら、その答えはひとつだけど···それを口に出すのは勇気がいる。
小鳥遊社長が無理強いはしないって万理が言うのは、それはちゃんと分かる。
だけど···
万「心配事とか、不安な事があればなんでも話してみて?社長に話しにくい事でも、間に俺が入って伝えるから。その為の人員だし、ね?」
そう言いながら万理は、さぁどうぞ!というマイクを持っている様な仕草で、その手を私に向けた。
万「え~···まず、佐伯 愛聖さんは今後の活動についてはどのようにお考えですか?」
『ちょっと万理ふざけっこなら、』
万「ふざけてなんかないよ、ちゃんと俺なりに···真面目に聞いてる。だから愛聖も、答えて?」
吸い込まれそうになるくらい透き通った目で見つめ続ける万理は、普段見せる顔とは違う表情で···万理なりの真面目っていうのが、私に話しやすくする為のアイディアなんだと伝わって来る。
万理がここに来たのは社長のお使いなんだし、それならちゃんと意思表示しないと、だよね。
そう考えながらも、まるで芸能レポーターのように手を伸ばした既に姿勢の万理を見て、ふとあの夜の事を思い出す。
あの日は、私がお客さんだったんだよね。
だったら、今日は···
小さなテーブルを前に、お行儀よく座り直す。
コホン···と小さく咳払いをして、そして···
『小鳥遊プロダクションの佐伯 愛聖です』
万「愛聖?それは···知ってるけど?」
突然話し出した私にキョトン···としながら万理が首を傾ける。
『本日はお忙しい中、私の移籍会見へとお越しくださいましてありがとうございます。質問には出来るだけお答えしようと思います』
ペコリとお辞儀をして笑顔を見せると、万理も私がやろうとしている事の意図が分かったようで口元を緩ませた。
万「では最初の質問をします。佐伯さんは以前までは八乙女プロダクションに女優として籍を置いてましたが、こちらではどのような活動を?」
···いきなり確信をついてくるとか、有能レポーターだよ、万理。
『それは···』
万「以前のように新進気鋭な女優活動を?」