第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
『万理、話って?』
「あぁ、うん。それなんだけど···」
愛聖の部屋に案内されると、開口一番にそう問われる。
同じ部屋に2人でいるなんて慣れっこのはずなのに、ここが俺の部屋じゃないって言うだけで妙な緊張感が走った。
お姫様仕様だと大和くんが笑っていたベッド。
そこに置かれたいくつかのぬいぐるみ達。
シンプルながらも可愛らしい色味のカーテンや家具。
···落ち着かない、気がする。
俺の部屋···殺風景なのかな?と思わせるような女の子らしい部屋で目の前には猫さん着ぐるみを着た愛聖。
環くんなんかは平然とこの部屋でお菓子食べたりしてるみたいだけど、こんな事位でそわそわしてしまうのはもしかして···俺って若さが足りない?!
『万理、なんか変···』
「えっ?そ、そんな事はないよ!」
タオルドライだけの髪をクルクルと纏め直しながら、愛聖が訝しげに俺を見て···フッと笑いを零した。
『大丈夫。襲ったりしないから、安心して?』
「あのねぇ、普通それは俺の···いや、俺も襲ったりしないけどね?!」
『知ってる。神に誓ってるんだよね?』
···さっきの根に持ってんのか??
『万理。私に話したい事ってさ、移籍発表と···復帰の事、なんじゃない?』
普通にバレてる~!!
『なんでもない普通の用事だったらさ、万理がそんなに躊躇うことないんじゃないかな?って』
どう?と目だけで俺に伺いを立てる愛聖に、苦笑を見せた。
「社長が俺に、」
『私の本音を聞いて来て?とでも言われた?』
社長?!バレバレじゃないですか!!
出来る限りの平常心を心で唱えて、まぁ···そんな感じ?と返す。
こんなにも平常心に唱えるとか、愛聖を同居させた最初の···あの夜以来だよ。
「飾り気なく本音を言えるのは俺だろうからって。それで···愛聖はどうしたい?」
『どうって···』
「社長は無理強いはしないし、愛聖の気持ちを尊重したいとは言ってたよ?」
そもそも、そんな無理強いするような社長だったら···きっとここはそれこそ八乙女プロダクションのように大きな会社になってる、と思う。
それをしないのは社長の人柄と言うべきか···