第1章 輝きの外側へ
万「ごめんね。いま俺、ちょっと意地悪な聞き方したよね」
片手で顔を覆いながら後悔のため息を漏らす万理に、大丈夫、ちゃんと話すからと言って小さく深呼吸をした。
『あの、ね···』
切り出してしまえば、たどたどしく、時々は声を詰まらせながらも今日あの場所で万理に再会するまでの出来事を打ち明ける事が出来た。
その間も万理は、驚きのあまり動揺を隠せなかったり、眉を寄せて何かを考えたりしながら、黙って最後まで聞いてくれていた。
『···だから、私はもう万理が知ってる···私じゃないよ。泥に塗れた、ただの···人間』
話し終えた後の沈黙に怯えて、苦し紛れに付け加えた。
それでもまだ何も言わない万理と向かい合っているのが怖くて、改めてそっと部屋を見回してみる。
キレイに整頓された部屋。
その隅に置かれている数本のギター。
まだ···音楽やってるのかな。
分野ごとに並べられている棚には···Re:vale、と書かれたCDが揃えられていて。
よく知った顔が、二つ並んでジャケットを飾っていた。
万「愛聖。驚き過ぎて、なんて言ってあげたらいいのか正直まだ分からないけど。でも···よく···」
ー 頑張ったね ー
その言葉で、一気に視界が滲んで行く。
今までどんなに辛い現場を終えて八乙女社長に報告しても、決して言われる事のなかった言葉。
それを今、数年振りに再会した人から送られて涙が止まらなかった。
万「泣かせるつもりじゃ···なかったんだけどな」
顔を上げれば、困り顔をしながらも微笑んでいる万理がいて。
『···泣いてなんかないよ』
そう言って笑ってみせるくらいしか出来なかった。
どう見ても、誰が見ても、泣いてると言われたら反論は出来ないけど。
こぼれ落ちる涙の理由を、万理のせいだと思われたくなかったから。
万「ハイハイ、そういう事にしておきます···って事で。愛聖、これは俺の考えなんだけどさ?元大手事務所のタレントが、住所不定の無職は危ないだろ?」
『···まぁ』
万「だから、落ち着くまで···ここに寝泊まりしない?もちろん、タダで」
···
······?
·········?!
『は、ぁっ?!本気で言ってるの?!』
数秒の時間を置いてから驚きの声を上げる。
万「もちろん本気」