第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「はい、これでよし!」
『ありがとう···万理』
やれやれ。
壮五くんから電話貰った時は何があったのかと思ったけど、さほど深刻なケガじゃなくて良かったよ。
ま···ケガした本人は死にそうな顔してるけど。
「愛聖、転んでケガするほど慌てて買い物しなくてもいいんじゃない?タイムセールでもやってた?」
『別に慌ててた訳じゃ···なくも、ない···けど』
う~ん···これは外で何かあったな?
あからさまに様子が変だし?
壮「万理さんがそんなに思い悩むほど、深刻な捻挫ですか?」
「え?あ、違う違う。思ったより大したことがなくて良かったって考えてたところだよ」
それなら良かった···と言って、壮五くんは穏やかに微笑んではいるけど、心配してるのには変わりない。
「じゃあ、俺は仕事があるから事務所に戻るけど···大丈夫?」
『あっ···万理、社長の今日のスケジュールって···?』
「社長の?」
『ちょっと、話したい事があって。今日忙しいなら別の日でもいいんたけど、なるべく早めの方がいいかなって』
「今日は社長はずっと事務所にいるよ?今も社長室で仕事してたし···夕方位には、何もなければ時間は少し取れるんじゃないかな?戻ったら社長に伝えておこうか?」
『お願いします···』
了解です。と言って片付けをして寮を出る。
愛聖の急ぎの話ってなんだろう?
早く現場復帰したい···とかではないだろうし。
社長の話だと、頃合を見て···まずは移籍を発表してからスタート、とか言ってたしなぁ。
愛聖本人の気持ちが整うまでは、そっちを優先してあげたい···とも言ってたし。
まぁ、愛聖の実力なら仕事なんて売り出せばすぐに舞い込んで来るとは思うけど。
前の事務所で仕事がなかったのが不思議な···あぁ、それは事情があったからではあるけど。
···まさか。
やっぱり完全引退したい、とか言い出すんじゃないよね?!
···それもないか。
あの仕事、子供の頃からの夢でもあったし。
愛聖の大きな夢のひとつは、俺と千と3人で曲を···とかも言ってたけど、それはもう叶えてあげられないからね。
とりあえずは社長に、愛聖の事は伝えておこう。