第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
大「そういや、愛聖の帰り遅くね?」
壮「そうですね···やっぱり道に迷っちゃったのかな」
「かもなぁ。陸がどの道順で教えたのかはだいたい分かるから、オレ迎え行ってくるか?」
買い物に出てからそれなりの時間は経ってるし。
行き慣れてるオレらだったら、それこそ洗濯機が止まる前にはとっくに帰ってるハズだし。
大「ちょい待てミツ。もし愛聖が迷子になってんなら、迎えに行っても巡り会えないだろ」
「あ~、それもそっか···」
入れ違ったりする可能性もあるしなぁ。
『戻りました···遅くなってごめんなさい』
とりあえず電話してみっか?なんて思ってたら、ドアが開いて愛聖がひょっこりと顔を出した。
壮「愛聖さん、お帰りなさい。随分と時間かかったみたいだけど、大丈夫だった?」
たまたま近くにいた壮五が声をかけると、行く時とは違う、少し困惑した顔を見せながら曖昧に笑っていた。
『ちょっと、いろいろあって。でもちゃんと帰って来れたし大丈夫です···あ、二階堂さんに頼まれた物は冷蔵庫に入れときます。洗濯の続き、しますね』
なんかイマイチ様子が変だけど、外でなにかあったのか?
ぎこちなく歩く姿をよく見れば···あれは···?
「愛聖、お前その膝どうした?血が出てる」
『あっ···これは、ちょっと転んじゃって。後で手当てします』
「あのなぁ、後でじゃないだろ?そういうのは今やれって···ほら、こっち座って。壮五は救急箱持って来て」
『ホントに大丈夫だから!後で自分で、』
「おっさん!GO!」
大「オレは犬か!まったく手のかかる···」
『あ、ちょっと二階堂さんっ?!』
無理やり大和さんに抱えられて暴れだしそうな愛聖をイスに座らせる。
「血が出るほどの転び方って、子供かよ。消毒するから···おい、愛聖。これも転んだ時にやったのか?」
見るからに違和感のある足首を押せば、愛聖の顔が痛みに歪む。
···捻挫、だな。
これだけ腫れてるとなると、変にオレらが手当てするよりも、ちゃんとした見方が出来る人の方がいいだろうな。
···と、なると。
頭に浮かぶのはひとりだな。
「壮五。悪いけどちょっと、万理さん呼んでくれ」