第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 百side ❁❁❁
「あれ、ヤバくないっすか?」
「スカウトにしては様子が変っぽくね?」
スタッフ同士の会話に、オレもなんとなくそっちの方向を見る。
あちゃ~···名刺出してるって事は多分、ドタキャンしたタレントの代理って感じで説得してんだろうな。
さっきあの人、一般人ウォッチングしてたし。
でも、強引なのはよくないよな?
飲みかけの紙コップを置いて、ちょい様子見てくるか?と立ち上がった。
「あ、百さんどこ行くんですか?」
「ん~、ちょっと正義のヒーローして来るよ」
それなら自分が行きます!と駆け寄るスタッフを制して平気だからと下がらせる。
「いいっていいって、オレもちょっと気になるし。どんなカワイイ女の子が口説かれてるのか、興味あんじゃん?もしかしたら共演者になるかもだしさ!」
ね?と笑顔を見せて、オレは様子を見に行く為に歩き出した。
その間もずっと目を離さないようにして、少しずつ距離を縮める。
現場主任も何だか必死っぽいけど、女の子あんなに嫌がって···あ!腕まで掴んじゃったよ!
ちょっと?!どんだけ必死なの?!
騒ぎが大きくなる前に助けてあげなきゃ!と歩く速さを上げて現場に到着する。
「ちょっとちょっと?撮影の合間にナンパ~?離してあげなって、彼女嫌がってんじゃん?」
ちょっと見間違えたら通報されるレベルだよ。
「すみません、百さん···例のタレントの代わりを探してて。この女性なら見劣りしないかと」
見劣りって、軽く失礼な発言を堂々とまぁ···とりあえず手を離してあげてよと言えば、現場主任は掴んでいた腕をそっと離した。
こういう仕事って、時には強引さは必要かもだけど···でもそれだって時と場合によるんだからさ。
「ゴメンな?こっちのスタッフさん達も急な事で焦っててさ、オレからも謝るよ。ホントにゴメン!」
『いえ···私は別に···』
「そんなに顔背けるほど怒っちゃってる?じゃあ、ちゃんと謝るから、せめて顔くらい···見せてよ?」
『だ、大丈夫ですから。怒ってないし、ホントに大丈夫です』
怒ってない割には、顔を見せないように横を向いてしまう。
っていうか、オレが嫌いとかで顔も見たくないとか?!
もしかしたらユキ派とか?!
オレがユキを独り占めしてるから?!
だってユキは超絶イケメンだからね!