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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第4章 カケラの眩しさ


見劣りって、何気にこの人···失礼ね···

だけどスッピンだし、百ちゃんにバレない為にも黙っておくのがいいかも。

百「確かに代わりは必要だけどさ、一般人を無理やりってのはダメなんじゃないの?ほら、局的にもさ、あんま強引なのとかマズイんじゃない?」

「あぁ···まぁ、それもそうですね···しかし、どうしましょうか。代わりがいなければ先の撮影に進めないし」

この人、別撮りとかいう考えは浮かばないんだろうか。

犬を散歩してる通行人なら、他の演者に直接関わってなければ別撮りだって出来るだろうに。

それとも、その通行人が何か大事なカット割りになっているとか···

いずれにしても、今の私には出来ることは何もない。

百「とりあえずさ、この手は離してあげてよ?」

百ちゃんがそう言うと、しっかりと掴まれていた私の腕が軽くなる。

百「ゴメンな?こっちのスタッフさん達も急な事で焦っててさ、オレからも謝るよ。ホントにゴメン!」

『いえ···私は別に···』

顔をのぞき込まれそうになって、思わずパッと反対側に顔を向けながら返事をする。

いくらノーメイクだとしても、百ちゃんには絶対バレる。

千の家に泊まってた時は、何度も素顔の私を見てる訳だし。

···絶対バレる。

百「そんなに顔背けるほど怒っちゃってる?じゃあ、ちゃんと謝るから、せめて顔くらい···見せてよ?」

『だ、大丈夫ですから。怒ってないし、ホントに大丈夫です』

自分の方へ向けようと私の顔に伸びる手を軽く払い、背中を向けるようにして買い物した荷物を持ち直した。

『すみません急いでますから、私はこれで失礼します···さ、撮影、頑張って下さい』

そう言って慌ただしく一歩を踏み出そうとした時、風に煽られて三月さんのキャップが飛んだ。

『あっ···』

咄嗟にキャップを拾おうとして、お互いにそれに伸びた手が触れてしまい、反射的に顔を上げてしまった。

百「大丈夫だった?今日は何気に風があるから、しっかり被っとかないと、飛ばされちゃうよね···って···えっ···ウソ···」

見ら···れた···

百「マリー···?」

風にたなびいて顔に掛かる髪をかきあげられ、ハッキリと視線が交差する。

『···ごめんなさいっ!』

そう小さく叫んで、私は荷物を握って走り出した。
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