第1章 輝きの外側へ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
ナ「Oh...ミツキ、バンリが美しい女性といたのは本当デスか?」
「ナギ···そういうとこばっか、どこにいても聞こえてんのな」
ナ「···本当デスか?」
グイッと顔を近付けながら、ナギが同じ事を聞いてくる。
「だぁ!顔を近付けんなっての!本当だよ、本当!」
ナ「Noooo!バンリに特定の女性がいたなんて、ワタシにもまだいないというのに!」
大「特定のって。逆に不特定なのがいる方がヤバいだろって」
大和さんも、缶ビール片手に聞き耳しっかり立ててんじゃん!
ナ「今頃は美しい女性と···あんな事や、こ~んな事で···愛を語りあっているのでしょうか···Oh···」
「未成年がいるんだからヤメロって!」
って、ナギも未成年っちゃ未成年か?
環「そーちゃん、あんな事やこんな事って?どうやってバンちゃんが愛とか語り合ってんの?」
壮「それは、僕にもちょっと分からないかな」
環「ふ~ん、じゃあヤマさんは?愛とかいうの、語ってみて?」
ブハッ!と吹きこぼす音がして、直後に大和さんが咳き込み出した。
大「お、オレが?!ゴホッ···誰に?!ゴホッ、ゴホッ」
「こらナギ!お前が変なこと言うからこっちがいろいろ大変になってるだろ!」
ナ「Oh···ワタシのせいですか?···タマキではなく?」
「お前しかいねーだろっての!!」
あちこちに飛んだビールを拭き歩きながら言えば、ナギはシュンと肩を落とした。
だけど···万理さんと一緒にいた女の人。
どっかで見覚えが···ある、ような気がするんだよな。
でも、どこでだ?
大「ミツ、深刻な顔してどうかしたのか?」
「あ、いや。さっき見かけた人、どっかで見た事ある気がするんだよな。それが思い出せないんだけどな」
壮「···実は、僕もそう思ってた所なんです。でもやっぱりそれが思い出せなくて」
「壮五もか?」
壮「はい。すみません、思い出せなくて」
「思い出せないのはオレも同じだし、気にすんな?」
オレだけじゃなくて壮五も見覚えがあるって事は、いったい誰だったんだ?
しかも万理さんとあれだけ密着する仲ってことは···少なからず、というか、確実に万理さんの知り合いなんだろうけど。
抱き合ってた人は誰ですか?···なんて、聞けないよなぁ、さすがに。