第4章 カケラの眩しさ
あ···寮で使ってる柔軟剤の詰め替え、売り切れてる。
ボトル入りのならあるけど、それだとかさばるし勿体ないよね?
どうしようかなぁ···あ、そうだ!
なんかあったら電話しろよ?って言ってた三月さんを思い出し、ポケットからスマホを出して電話を掛ける。
勝手に違うのを買う訳にはいかないし、とりあえず意見を聞くべき!だよね?
三 ー おー、どうした?もう迷子か? ー
『違いますよ!ちゃんとお店に着いてます!さすがにこんなに早く迷子にはなりませんからね!』
三 ー 冗談だっつーの。で、どした? ー
冗談にならない冗談はやめてくださいよ。
『あの、寮で使ってる柔軟剤の詰め替えが売り切れてて、どうしたらいいかな?って』
三 ー 売り切れてるなら仕方ないだろ?洗濯はしなきゃだし、今回は愛聖が選んで一つだけ買って来ていいぞ?あ、でもあんまり香りが強いのは陸がいるからダメな?むせたりとかしたら大変だから ー
柔軟剤の香りでむせる?
七瀬さんって、デリケートな体質なのかな?
『分かりました。あまり香りが強くなさそうなものを選んで買って帰ります』
三 ー おう、宜しくな!···え?あ、別にいいけど?大和さんが電話変われって言うから変わるな? ー
二階堂さん、何か買って来て欲しいものでもあるのかな?
大「もしもし、オレだけど」
『私に息子はまだいませんが?』
大「違うっつの!誰がオレオレ詐欺ごっこするか!」
ですよね~。
『で、二階堂さん私に何か買い物頼みたいんじゃないんですか?』
大「そうそう!正解!」
···もうここはこのまま流そう。
『何を買えばいいんですか?ビールですか?こんな午前中から』
大「心外だなぁ。オレが買い物頼むイコールでビールと結び付けられるとか、お兄さん泣いちゃうぞ~?」
『二階堂さん、既に酔ってます?』
大「あのねぇ···さすがのオレでもこんな時間から飲んだくれて酔っぱらったりしないって~の。あ、それとも?酔っ払ってキスとかオネダリされたい?」
うぅっ···胸が痛い!
『切りますよ?』
激しく動悸がする胸を押さえながら言えば、二階堂さんは笑いながら、とりあえず話を聞け!と電話口で叫んだ。
『その話は忘れて下さい···それで、何を買って帰ればいいんです?』
二「あ~そうそう、歯ブラシ買って来て」