第4章 カケラの眩しさ
お財布は持ったし、スマホも持ったし···買い物のメモも···よし!ちゃんと持った!
三「ホントにひとりで大丈夫か?オレか壮五が一緒に行くぞ?」
『大丈夫ですって!子供じゃないんだし、七瀬さんに道を教えて貰ってるし···もしも迷子になったりしたら電話も出来るようにスマホも、ほら!あ、地図アプリ使えば電話する必要もないですね!』
三「いや、迷ったら電話しろって。迎えに行ってやるから」
平気ですって!と笑いながら玄関まて着いてくる三月さんと逢坂さんを振り返る。
『行ってきます!他にも買い物を思い出したらラビチャ下さいね?』
三「おぅ、それは分かったけど」
壮「ホントに荷物持ちしなくて大丈夫かな···」
二人とも心配性だなぁ···そんなに頼りないかな、私って。
『とにかく行ってきますね?じゃないと洗濯機が止まっちゃうし。じゃ、改めて···行ってきまーす!』
これ以上足止めされない内にと玄関から早々と通りへ出る。
昨日教わった通りの道順を歩き、本通りへ出てから···はた、と気付く。
私、変装とかしてないけど···大丈夫かな?
万理の家に居候してた時は確か誰にも気付かれなかったから···平気っぽい?
一般人として紛れ込めてる??
ちょっと立ち止まってキョロキョロと周りを見ても、すれ違う人達は誰も私が私である事に気付いていない。
最後の方は仕事なんてなかったし、そんなもんなのかな?
ま、いいか···?なんて思いながら道を進めば、少し先の通りに人だかりがあるのか見えた。
「なんか撮影してるんだって!」
「うそ?!行ってみよ?!」
「芸能人誰がいるんだろ!!」
···撮影?
それはなんか危ない気がする。
いくら一般人として紛れていても、もしも顔見知りのスタッフなんていたら···バレる可能性は少なくはない。
かと言って、道を変えて歩ける程の土地勘はまだないし。
さり気なく早足で通り抜けてしまえば大丈夫···だと思って行くしかない!
ガラスに映った自分の姿を見て衣服を正し、なるべく向こうを見ないように通り抜ける。
···よし、抜けた!
スタッフでさえ気付かなかったんだから、心配する事なかったな。
ちょっとだけガッカリする自分に笑いながら、早く買い物終わらせてしまおうとドラッグストアの店内に入った。