第21章 ココロ、重ねて
そりゃそうかもだけどさ?と返して、現場に龍がいたらマリー取られちゃうじゃん!と言って、マリーがいる時はずっと一緒にいようって決めてたのに!とおかりんに言えば、それを見ていたユキがクスクスと笑った。
千「モモ?忘れてるみたいだから一応言っとくけど、撮影現場には僕もほとんど一緒なんだけど?音楽担当の僕は、撮影シーンを見ながら曲を書きたいって監督に話したらオッケー貰ってるし。それともモモは、僕がいたら・・・イヤ?」
わーすーれーてーたー!!
そうだった!ユキ単独の仕事が被らない限りはユキも毎回現場に来るんだった!!
マリーと仕事が一緒なのが楽しみすぎてユキの事すっかり忘れてたよオレ!!
千「その様子だとすっかり忘れられてたみたいだな・・・母さんってば、酷い・・・」
「ち、違う!忘れて・・・たけど!ユキの事がイヤとかじゃないから!」
千「やっぱり忘れてたのか」
「えっと・・・はい・・・ゴメン」
忘れてたのはオレだし、ちょっと浮かれすぎてたのもある。
それにあのマリーが姿を消してた時に自分だけ連絡取り合ってた事がユキにバレた時、これから先はユキに嘘はつかないって約束したから。
あの時、ユキにマリーを見つけた事を言わないでいた事・・・本当はスゲー辛かったし。
千「そんなにしょんぼりされると、僕の事を忘れてたの怒れないな・・・よし、許す!」
「ホント?!ユキのイケメン!!」
ユキの言葉に無条件で喜ぶオレを、ユキはあからさまだなと笑うから、オレもつられてエヘへって頬を掻いて笑い返す。
岡「ホントに千くんと百くんは仲良しさんですね・・・それよりお二人とも?そろそろ出ないと、早めどころか遅刻ギリギリになって佐伯とおしゃべりする時間なんてなくなりますよ?」
いいんですか?と眼鏡を光らせるおかりんにオレもユキも、言いわけない!と慌てて身支度を進める。
そんなオレたちを、おかりんは笑って。
岡「佐伯さんパワーは効き目抜群ですね・・・これからはお二人がわがまま言ったら佐伯さんにお説教して貰いましょう、うん」
なんて言うから、それだけはヤメテ!と言いながら、オレとユキは競うように身支度を進めていた。