第21章 ココロ、重ねて
千「まぁ、楽パパが絡んでるのなら事務所の力がどうのってのは仕方ないんじゃない?僕たちだって駆け出しの頃は最後に名前があればいい方だったんだし?それに、愛聖がどれだけの頑張り屋なのかは僕たちどころか、この業界の人間なら分かってるし」
「だね!ユキの言う通り!」
そう言いながらスマホをおかりんに返して、マリーがドラマに出るのかぁ!絶対に録画必須だね!なんてユキに言いながら衣装を脱いでニコニコで私服へと着替える。
だって今日の私服はオレにとって特別仕様なんだもん。
去年の誕生日にマリーがプレゼントしてくれたシャツに、靴下!
オレの好きなブランドのをちゃんと知っててくれて、ちょうど新作で出たやつをオレも買おうと思ってたらプレゼントしてくれてさ。
めちゃくちゃテンション上がったんだよな、あの時!
嬉し過ぎて思わずその場で着てみる!と服を脱ぎ出した時は、ユキにストップかけられたけど。
あ!もしかして今日この後の顔合わせで、マリー気付いてくるるかな?!
もし気付いてくれたら、どんな顔するだろ?
やっべ・・・なんかいろいろ楽しみ増えちゃった!
なんて、ウキウキしていると、おかりんが荷物を纏めながらそう言えばとその手を止める。
岡「今回の映画ですけど、TRIGGERの十龍之介くんも出演されますね。えっと、そうそう・・・あ、これです、佐伯さんの担当医役です」
「マジで?!オレそんなの聞いてないけど?!」
岡「えぇ、いま初めて言いましたから」
そうじゃなくて!!とツッコミ入れてる場合じゃないなと踏み止まり、なんか出演者豪華じゃない?!とおかりんの顔を見る。
岡「原作者の方が担当医役のイメージを制作側に伝えたところ、制作側からの提案で彼に決まったとか・・・?」
千「制作側も随分と思い切った提案だね?だってTRIGGERの十龍之介って言ったら、抱かれたい男No.2・・・じゃなかった?色気ムンムンな医者ってどうなの?って感じだけど」
「だよね!!それに担当医ってさ、確かマリーの事を好きなのに想いを伝えられずにいる的な役じゃなかった?マリーは目が見えない役なのに炸裂する色気・・・いる?」
岡「それは自分に言われましても・・・でも既に決定している事なので余程がない限り変更はないと思いますよ?」