第21章 ココロ、重ねて
❁❁❁ 百 side ❁❁❁
「ほらユキ!早く早く!」
千「分かったって。別にそんなに急がなくたって顔合わせなんだから愛聖はちゃんと来るだろう?」
「だからこそじゃん!ちょっとでも早く着いてればさ?その分マリーとおしゃべり出来る!」
この間の監督との食事会・・・と言うか、結局は飲み会になったけど。
その時にマリーは映画出演するって決めてくれてオレはメッチャ嬉しかったんだもん!
Re:valeと共演ってより、オレとダブル主演ってカタチで映画出るんだし!
とは言ってもオレは千みたいに歌も演技もサイコー!って訳じゃないから、演技に関して自信はないけど。
それでも撮影期間はほとんどマリーとの絡みがあるから、ずっと一緒にいられるって事だしね!
それをウキウキしながら言えば、おかりんが佐伯さんも忙しくなると思うのでずっと一緒にと言うのは難しいかも知れませんよ?と言うから思わずなんで?!と返してしまう。
岡「なんで、と言われてもですね・・・今朝早く情報解禁されましたが、佐伯さんはドラマにも出演される予定になってるようなので」
「ドラマ?それってもしかしてオーディション受けたとか言ってたヤツ?」
岡「えぇ、まぁ。こことは違うテレビ局の開局記念ドラマです。豪華出演者揃いで・・・あ、これですね」
言いながらおかりんは自分のスマホでその情報が載ってるサイトを開けてユキにスマホを差し出した。
千「へぇ・・・こんなドラマの企画があったのか。で、愛聖は主演・・・相手役が、なるほどね・・・確かにここだけでも目を引くって感じだな」
「相手役ってそんなに有名人なの?オレにも見せて見せて!」
ユキから奪うようにおかりんのスマホを取って画面を見れば。
「主演・・・八乙女 楽?マリーの名前は楽の次?なんで?」
順番で言ったらヒロイン役が先とかじゃ?っておかりんに言えば、おかりんはその辺はいろいろと大人の事情があるんですよ、と苦笑を見せる。
「大人の事情って、あぁ・・・特有なやつ、ね」
この業界、どれだけ頑張って有名になっても事務所が小さかったりするとそれだけで権力争いに負けてしまう事もある。
ウチの事務所だって、例外ではなかったし。
最近ようやく、な感じだけどさ。