第4章 カケラの眩しさ
三月さんと二階堂さんが話していると、万理も起きてしまった。
確か、さっきのナギさんの話だと···私は酔っ払い状態で2人に···
あぁ···その話を思い出すだけでめまいがする。
『あの!二階堂さんと万理に謝らないといけない事が!』
勇気を出して声を上げながら、勢いのまま床に正座して頭を下げた。
『ナギさんから全部聞きました···えっと、二階堂さんと万理に···せ、迫った、とか···』
万理だけならまだしも、新たに所属した事務所の先輩になる二階堂さんにまで粗相を働くとかダメじゃん!
『ごめんなさい!これからはどうしてもって言う時にしかお酒なんて飲みません···』
床におでこがつく程の土下座状態で言えば、クスクスと笑う万理の声が聞こえて私の頭をツンっと押した。
万「確かに昨夜は驚いたけど、愛聖がそこまで落ち込む姿は初めて···いや、パウンドケーキを一人で作って竹炭みたいな仕上がりを目の当たりにした時以来だから許してあげよう!」
う···苦くて痛い記憶が···
大「パウンドケーキが?」
三「竹炭って···お前、どんな作り方したんだよ?オーブンが炎上でもしたのか?」
『えっと···それは、ですね。ちゃんと本を見ながら作ったのに、残念な結果に』
三「パウンドケーキなんて、材料混ぜて焼くだけだろ?」
万「ま、そういう事だから三月くん?愛聖が食事当番の時は気を付けて?」
言いたいことは山のように浮かぶけど、昨夜の事があるから言うに言えないのがムズムズする。
大「ま、アレだ。オレはちょっと惜しいことしたなぁとか思ってるから、次に飲みの席があったなら愛聖はオレの隣に座ること。それでチャラだな」
万「大和くん?」
万理がため息を吐きながら言えば、二階堂さんもちょっと肩を竦めて笑っていた。
大「とにかく、あんな感じなのはオレも慣れてっからさ?あんま気にしなさんなって」
『はい···ありがとうございます?で、いいんですか?』
疑問が幾つか残りながらもそう言えば、二階堂さんはカラリと笑って、学校組が起きてくる前に片付けんぞ~と言って動き出した。
効率よく片付けや朝ご飯を用意する為に、キッチンは万理と三月さん、片付けは私と二階堂さんとに分かれて作業に取り掛かった。
この次があったら、ホントに気をつけなきゃ。