第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
人の気配を感じて目が覚める。
まだ開き切らない目を擦りながら見れば、ぼんやりとだけど、愛聖が部屋を片付けているような様子が分かった。
やっべ、昨日散らかしたままだったのか。
歓迎会の主役だった愛聖に片付けさせるワケにはいかねぇな。
ようやく体を起こし、一織が愛聖に似せて作った人形をしっかり抱きしめてるのを見て目を逸らす。
何してんだ、オレ。
ガシガシと頭を掻いてから適当に手櫛で髪を整え、そこで初めて愛聖に声を掛けた。
「おはよう、愛聖。その辺の片付けオレがやるから気にすんな?」
『あ、おはようございます。あの、いいんですコレは。私への戒めと言うか、その···』
「戒め?なんかやったのか?」
つい疑問に思った事を聞けば、愛聖は青ざめたり赤くなったりと忙しなく表情を変えながら大和さんや万理さんを見てはモゴモゴと口篭った。
「ま、言いにくい事ならムリには聞かねぇけど。ひとりで片付けるより人数いる方が早く終わるだろ?」
ソファーから立ち上がり、グンっと背伸びをしてから床に転がってる大和さんをユッサユッサと揺すった。
『あ、あの三月さん?!二階堂さんは···まだ起こさなくてもいいです。私の覚悟の都合が···』
「あ?覚悟ってなんだ?別におっさんは寝起きはいいぞ?」
な?と言いながら大和さんを見れば、大和さんはその目線の先に愛聖を見つけてニヤリと笑っていた。
大「おはようさん。よく眠れたか?」
『お、おはようございます···』
なんだ?
なんか急に微妙な空気が?
大「おはようのキス、必要?」
妙にニヤニヤしながらメガネを掛け直す大和さんの言葉に愛聖はみるみるうちに顔を赤くした。
「目覚めのキスとか、愛聖はさっきから起きてるぞ?寝てたのはむしろ大和さんだろ?まだ寝ぼけてんのか、おっさん」
大「オレは寝起きはいい方だ。ついでに寝ぼけてもいないっての···ミツはなんも知らないからな、昨夜のこと」
昨夜って、なんかあったのか?
オレいつの間にか寝ちゃってたからなぁ。
万「こら大和くん?あんまり愛聖をいじめるなって」
不思議に思ってた思考を遮ったのは、そんな万理さんのひと声だった。