第20章 明かされた事実
千「あの子たちには・・・話したのか?僕たちには言えなかった事を」
『でもそれは安易に話した訳じゃなくて、その、変な時期に移籍して来た私の事情を話すことになって、それで、全部話したの。どうして八乙女プロダクションを辞めることになったのか。その日から小鳥遊社長に拾われるまでどうしていたのか、とか、まぁ・・・』
まさかここで万理のことを話す訳にも行かないから何となく濁す。
百「それだ!オレずっと気になってたんだよ!八乙女プロダクションにいる時ってさ、マリーって事務所が所有してるマンションに住んでたじゃん?寮ってわりにはユキんちみたいにスゲー広い部屋!あそこを追い出されたならさ、どこに住んでたの?」
『あ・・・と、それは、その・・・』
行方不明状態になっている間に万理の家にいましただなんて言えるはずもなく、ただ返答に困り口を濁す。
千「まさか愛聖、女優を隠してホームレスだったとか?」
『ち、違う!しばらくの所持金はあったからビジネスホテルを転々としたり、あとは漫画喫茶とか、ネカフェとかそういうところにいて、あ・・・えっと・・・アハハ・・・』
バッと体を離した咄嗟の反論に千は、へぇ・・・ネカフェ、ね?と口端を緩ませる。
千「ネット環境がいい所には、居たって訳だ。じゃあ僕からの連絡は全部届いていての完全スルーだったんだね」
『別に千だけじゃない、それはみんなに当てはまることだから』
千「でもモモとは僕に隠れて連絡取り合ってたよね?」
うっ・・・そこを突かれると返す言葉も見つからず黙ってしまう。
百「ユキ、それはもういいじゃん?ちゃんとその後に話し合って解決してるんだしさ」
千「そうね・・・それに関しては僕も許したけど。だからこそ、今後は僕に隠し事はなしって約束して欲しいんだよ・・・どう?出来る?」
『・・・うん、分かった』
既にこの時点で万理との繋がりを隠している事に後ろめたさを感じながら、この場での約束という千の言葉に頷くしかなかった。
千、ごめんなさい。
今は万理の事だけはどうしても話せない。
万理が、それを望んでいるから。
だから、本当にごめんなさい。
心の中で何度も繰り返し謝りながら、いつか万理の事を告白出来る時が来たら、その時は思う存分・・・怒っていいからと、その日を思い浮かべて俯いた。