第20章 明かされた事実
さっき自分がしたように、モモから諭すように言われ椅子に座り直す。
「アタシもね、社長が声をかけたら愛聖が戻って来てくれると思ってた。だけどそんな時、小鳥遊社長が愛聖を連れて事務所に来て、いらないのなら小鳥遊事務所が引き取るって言って愛聖が事務所移籍する方向に決まったの。その時にはもう、愛聖の中で気持ちは決まってたみたい。もちろんアタシも驚いたし、引き留めようとも考えた。だけど、新しい場所で頑張るって話してる愛聖の顔は輝きを放っていて、キレイだったのよ。だからアタシは背中を押したの」
話を聞けば聞くほど自分が知らない愛聖の事が流れ込み、苛立つ。
僕は今まで愛聖の1番の理解者だと思っていた。
それは万がいなくなってしまった後からではあるけど、でも、そうだと思っていた。
なのに、こうして僕の知らない話を聞くと自分自身に腹が立つ。
僕の前で無邪気に笑って。
僕の前で拗ねて。
僕の前で怒って。
そして、僕の前で泣いて。
その様々な表情の裏に、こんな悲しく辛い事が隠されていただなんて。
僕は・・・知らなかったのか・・・
姉「それから、ここからが大事なんだけど。奏音は愛聖を壊してあげるって言ったらしいの。言わば堂々たる宣戦布告って事ね。そして少なくともアタシよりRe:valeの方が愛聖の側にいる事が多いじゃない?だからってわけじゃないけど・・・」
── 愛聖を守ってあげて ──
辛そうな目をしながら言うその言葉の重みを感じで、僕もモモも静かに頷く。
姉「アタシも現場が同じ時はなるべくあの子の近くにいるようにするわ。だけど、アタシより近しい場所にいるのはRe:valeのふたりだから」
「そうね・・・僕たちも出来るだけそうするように心掛ける」
そう答えると姉鷺さんはお願いね?と最後に言って時計を見て、そろそろ戻るわと楽屋を出て行った。
百「マリーの移籍の裏にそんな話があったとか、オレ知らなくて。オレ、マリーの味方だからって言ってたのにマリーが追い詰められてるの・・・気付かなかった」
そう呟いて項垂れるモモの頭を抱き寄せ、これからも愛聖の味方でいてくれると僕は安心だよと、そっと頭を撫でた。