第20章 明かされた事実
岡「いた!全く急に2人して楽屋と違う方向に行くと思ったら・・・って、おはようございます佐伯さん」
千「もう見つかったか」
声がする方を振り返り、千が最近のおかりんは鼻が効きすぎると苦笑する。
『おはようございます岡崎さん。今日は同じ今日でお仕事だって言うのは知ってましたけど、Re:valeもこんな朝早くから局入りだったんですね』
目の前に立ちはだかるふたつのタワーをヒョイっと避けて、どこから走って来たんだろうと思えるほど息を切らせた岡崎さんに挨拶をする。
岡「えぇ、実際はもう少しゆっくりでも大丈夫なんですが、何分、千くんは朝が弱いので余裕を持とうかとスケジュール組んでるんです」
あぁ、やっぱりか。
そんな言葉が頭を過ぎる。
だって千は寝るとなかなか起きないから大変なんだって、昔から万理も言ってたし。
それもあるけど、前に撮影が一緒の時も全然起きなくてスタッフさん大変そうだったし、起きたら起きたで不機嫌だから・・・そのための時間の有効活用なんだと納得する。
岡「ところで佐伯さんは、こんなところで何を?」
クイッとメガネを直しながら言う岡崎さんに、実は・・・とさっきまでの経緯を話すと、千がやっぱりお困りだったんじゃないかと笑う。
『別にそこまで困ってた訳じゃないもん。ここまで来たけど小銭がなかったから楽屋に戻って紡さんに両替して貰えるか頼もうかと考えてたんだし』
ほら?と釣り銭切れランプのついた自販機を指させば、そんな事より今日はうさぎのおじさんじゃないんだ?と千が紡さんが同行してることに興味を示す。
『うさぎの、って。千、うちの社長に失礼すぎるよ?それに今日はいろいろと事情があって、昼間の仕事は紡さんにMEZZO"と並行して見て貰うことになったの』
百「昼間はって、夜の監督との食事会は社長さんなんだ?」
『そう。その都合で社長が・・・あれ?なんで百ちゃんがそれを知ってるの?』
言ってないよね?っていうか、映画の話すらまだRe:valeにも岡崎さんにも話してないよね?と頭の中でハテナマークが飛び交う。
百「だってその予定、オレたちRe:valeも同席するからさ。ね、ユキ?」
千「そうね・・・百は朝からその話ばっかりだしね」
『はぃ?なんでRe:valeが同席なの?私なにも聞いてないけど?』