第4章 カケラの眩しさ
『ん~···もう朝かぁ···って···あれ?』
喉の乾きで目が覚めて、自分がベッドに寝ていることに驚く。
スマホの時計を見れば、その時刻はまだ明け方タイムを表示していた。
むくりと起き上がり、確か···と記憶を辿り、寮のリビングでわいわい騒いでて···なんて事を思い出し、青ざめる。
なんで私、ここで寝てるの?!
っていうか、メイクしたまま寝てるとか姉鷺さんに怒られ···ないか。
もう、一緒にはいないんだから。
とは言っても、私だって一応はタレントの端くれである訳で。
きっとここに姉鷺さんがいたら···
姉 ー あんたね!どんなに疲れていようが、メイクしたまま寝落ちするなんて言語道断よ!洗顔、スキンケアは私達乙女の必須でしょ!! ー
···私達、乙女。
そこに笑いを覚えて、つい誰もいないのに口元を隠す。
そうですよね、姉鷺さん?
ちゃんと肌ケアしないと!だよね!
と言うよりも···昨日の服のままでいるってことはシャワー浴びて来ないと!!
着替えやタオルを抱えて部屋を飛び出し、リビングの前を通過しながら開けっ放しのドアから中を覗き見れば···
うわ···凄い散らかってる。
それに床に転がってる二階堂さんに、ソファーで丸まりながら一織さんが作った私に似せた人形を抱き締めて眠る三月さん···
この光景は何だか複雑な気持ちがするけど、まぁ···いっか?
それからテーブルで酔い潰れているかの様に眠る万理。
えっ?!万理?!
なんでここで寝ちゃってるの?!
さすがに社長と紡さんはいないけど、大人組は飲み明かしたかのようにも伺える光景に、こういう事がここでも見られるなんてと笑ってしまう。
前の事務所では、TRIGGERの打ち上げに呼ばれたりしてみんなで騒いで、気が付けば龍が酔っ払って賑やかになってて。
当然、絡んで来て。
その度に楽や天に助けられて···なんていう事があった。
そしてそこで気付く。
私···昨夜何かしたかも?!
ここでみんなと騒いでいたハズなのに、部屋で寝てるとかありえない。
片付けに手を付けようかと思ったけど、やっぱり先にシャワーを浴びてジックリ思い出そう。
思い出すのも、なんか怖いけど。
みんなを起こさないようにそっとリビングから離れ、誰もいないバスルームへと歩き出した。