第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 小鳥遊音晴side ❁❁❁
環「そーちゃん!いおりんを離せって!」
壮「たぁ~くん、うるさぁい···」
日頃しっかり者で大人しい壮五くんが、こうも変わってしまうとは。
でも、それはそれで僕は安心出来るけどね。
彼には彼なりに、いろいろと大変な苦労がある。
ただ···
一「社長···何とかしてください」
同じくしっかり者である一織くんを、ここまて困らせるのは···予想外だったけど。
「壮五く~ん、そろそろ一織くんを解放してあげないと一織くん泣いちゃうよ~?」
環「いおりん、泣くの?!」
一「泣きませんよ!社長も変なこと言わないで下さい!」
一織くんのこういう所も見れたし、僕は壮五くんに魔法の言葉を囁いてあげよう。
ちょっと、罪悪感はチラチラと顔を出すけど。
「壮五くん?ちょっと耳貸して?」
一織くんにギューッとしがみつく壮五くんの耳元で、コソコソと魔法の言葉を囁けば、あれだけふにゃふにゃとした壮五くんがシャキッ背筋を伸ばす。
壮「僕は···あれ?一織くん、僕に抱き着いたりしてどうしたの??」
一「むしろ、そうされているのは逢坂さんですが」
壮「あれ···なんでだろう。ごめんね一織くん」
よし、ひとまずここは落ち着いた···っと。
酔ってフワフワな時間を過ごしていた壮五くんが、少し青ざめているのはかわいそうだけど。
環「ボス···スゲーな!そーちゃんになんて言ったんだ?」
「う~ん···それは、内緒」
秘密の言葉···それは誰にも教えられない。
壮五くんのプライバシーに関する事だし、本人が隠しておきたいなら···今は僕が好評すべき事ではないから。
それよりも、万理くんの方は···アハハ、とっても大変な事になってるようだ。
さて、万理くんも助けてあげるかと近寄って見れば。
『いつもご褒美にチューしてくれたのにぃ···』
ええっ?!これは由々しき一大事だ!
「だから、そんなのした事な···」
···万理くん、そこで黙るのは肯定と同じだよ。
少しからかうように声を掛ければ、万理くんはさらに慌てて否定をする。
大丈夫、ちゃんと分かってるから。
それにしても、この酔い方は八乙女にそっくりだ。
あと超絶毒舌家も深酒すると···いや、そこは彼の威厳の為に秘密にしておこうかな。
うん、そうしよう。