第19章 魔法のコトバ
環「今の声って、いおりんの」
聞こえて来た声に環がオレを振り返る。
「あぁ、間違いなく一織の声だ」
環「っつーか、いおりん今、危ないっ、て・・・」
「だな。まさかとは思うけど、行くぞ環!」
環「お、おぅ!」
一織のあの慌てた感じの声は多分、いや、絶対ヤバめなやつだ。
だとしたら愛聖はそんな危ない事になってるって訳で。
環を説得する前にオレが先に愛聖を止めに行けばよかったんじゃねぇのか?!
危ないからって分かってたなら、何より先に止めに行かなきゃだったんじゃねぇのか?!
焦る気持ちを押さえつつ沸かしていた鍋の火を止め、エプロンもそのままに環とリビングから飛び出せば、そこに見えたものは、片方の手で階段の手すりを掴み、もう片方の手で愛聖の体を巻きとるようにして支える一織の姿だった。