第4章 カケラの眩しさ
大「万理さん、助かった···危うくオレがお嫁に行けなくなるトコだった···」
ドラマや映画で愛聖のそういうシーンは何度も見てるけど、さすがにリアルタイムはダメだろ···
「まったく···人騒がせな···」
大和くんから愛聖を引き剥がして、これでひと安心···と思いきや、ペタリと擦り寄せられる体と背中に伸ばされる腕···?!
『あ~、万理だぁ···』
え、待って、ターゲット変更?!
俺がロックオンされてる?!
「ちょ、待て愛聖!こら、離しなさいって」
『万理···チューは?』
「しません!」
『前はいっぱいしてくれたのに···?』
なっ?!?!
「「 えっ?! 」」
ナ「バンリ···やはりバンリはマリーとアバンチュールを?」
大「いや、それはないだろ」
「大和くんの言う通り!違う、違うからね?!」
大「でも、酔ってる時って意外と本音出るしなぁ?」
おーい!!大和くーん?!
敵なの?!味方なの?!
『いつもご褒美にチューしてくれたのにぃ···』
「だから、そんなのした事な···」
ん?
ご褒美に···キス?
ナ「バンリ、思い当たるフシがあるようデスネ?」
小「万理くん、もしかして本当は?」
「急に何を言ってるんですか!誤解ですよ!」
絶対な···くもないけど!
ほっぺにチューくらいだから!
それは愛聖が小学生の時で、しかも俺じゃなくて千!
だいたい千だから!
音楽のテストで満点取ったり、千の作った曲を上手に歌えたりした時に千が···
マリーご褒美ねって、そんな感じのやつ!
で、千が俺にもご褒美あげろって言うから俺も···したけど。
でも今それ言ったら話がややこしくなるから言えない!
『万理、いい匂い···安心する···』
胸元に顔をすり寄せる愛聖に、今日は内勤だけで外回りがなくてよかった···じゃなくて!!
「ほら愛聖。いい加減に···って、あれ···寝てる」
ついさっきまで大騒ぎしていたはずの愛聖がスヤスヤと寝息を立てている。
「ホント···人騒がせなヤツ」
あどけない寝顔を見て小さく呟き、頭を撫でてみる。
それでも寝息を立て続ける愛聖を見て、口元を緩ませた。