第19章 魔法のコトバ
❁❁❁ 三月 side ❁❁❁
「マジかよ!なんでオレがそんな衣装を着る事に?!」
朝っぱらから緊急ミーティングだと社長に全員呼び出され事務所に来てみれば、予想をはるかに斜め上から超えた内容に思わず叫び声を上げる。
一「大丈夫ですよ、兄さん。きっと兄さんならカワイイと思います」
「そういう問題じゃねぇよ!ネコ耳だぞネコ耳!!あんなの着たら恥ずかしいだろ!!」
『えっと、その、なんかすみません』
「あ、いや、今のはそういう意味じゃなくてだな・・・クソッ・・・」
つい口にした言葉に反応した愛聖が眉を下げ小さくなる。
「とにかく!こ、今回は社長の直々の提案だから着る!けどな!せめてもうちょい何とかならねぇのかって気持ちもないわけじゃねぇよ」
そりゃまぁ多少はどうにかなってくれたとしても、デザイン的にはそもそもRe:valeの千さんが愛聖に着せる為のコスプレちっくなやつだ。
一織はすました顔してるけど、きっと胸の内はワクワクしてるに違いない。
なんたって一織は、そういうモノに抵抗なんかない。
むしろ喜んでるに違いない!
大「そんじゃお兄さんはミツとイチが愛聖とお揃いの衣装でかわい子ちゃんダンスをするのを楽しみにするとしますかね」
キラリと眼鏡を光らせた大和さんが含み笑いを見せてオレを見る。
あの顔、絶対からかいのネタにするに決まってる。
でもそんな小さな苛立ちを吹っ飛ばすかのように、社長が驚きの提案を続けた。
小「心配しなくても大丈夫だよ、大和くん。みんなにも、もちろんキミにもちゃんと出番は用意してるからね」
大「・・・は?」
小「じゃ、万理くん。例のものをみんなに配って?」
万「了解です、社長」
万理さんがニコニコとしながらオレたちみんなに資料を配り目を落とせば。
大「のぁっ?!な、なんでオレがこの曲を?!しかも愛聖とペア?!」
小「いい案でしょ?大和くんと愛聖さんはドラマでも息ピッタリだったし、人選に問題はないと思うんだけど?」
大「それはそうとしても、選曲に大いなるミスがあると思うんだけど・・・?」
『私も一応、ムリがあるって言ってはみたんですけど、社長と万理がノリノリで覆せませんでした』