第18章 Return to Myself
少し前なら、こんな日常がまた来るのだろうかと心を閉ざしそうになっていたみんなも、こうして活動出来ることが決まり気持ちが安定したんだなというのを感じながら私も一緒に笑いの中へと入った。
衣装デザインは千になんとか変更して貰うとして、それが済んだらNEXT Re:valeでの曲発表に向けて頑張るだけだけど・・・って、あれ?
そう言えば千は、とりあえずRe:valeの番組では自分たちがバックダンサーでって言ってたけど、それってやっぱり他の番組でも歌う事があるって事だよね?!
それがもし、ちゃんとした歌番組だったりとかしたら?
それこそ番組の内容によってはTRIGGERもいたりして、あの衣装を身につけた私をあの3人に見られてしまう・・・よね?
龍は別にニコニコしてるだけっぽいけど、楽は絶対に笑う!
天にいたっては現場では天使スマイルを保っていても、楽屋挨拶とかじゃ涼しげな顔で猛毒を吐きそうな気が・・・
って、そうじゃなくて!
ちゃんとした歌番組に呼ばれるだとか、なにそんな厚かましいことを考えてるの私!
そもそもそういうのってウチの事務所じゃアイドリッシュセブンか優先順位が上でしょ!
だ、大丈夫!
私は歌が専門分野のアイドルじゃないから、きっとそれはない・・・と思いたい!
ドラマとか映画にタイアップしてる訳でもないし、大丈夫!
そこまで考えて、ふと岡崎さんから聞いたオーディションのことを思い出す。
難しそうな内容だし、脚本家が変わり者だと言われている作品ではあるけど。
オーディション、か。
受けられるなら、受けてみようかなぁ。
例え主役なんかじゃなくてもいい。
端役だって女優の仕事なんだし。
これ以上スケジュールが白いままなのも問題あり、だし。
明日にでも社長に相談してみよう。
そう考えながら、私は三月さんが作ってくれた軽食をゆっくりと味わった。