第4章 カケラの眩しさ
万「自分で自分そっくりの人形を可愛いって言うとか···」
『万理、怒るよ!いいじゃない、ホントに可愛く出来てるんだから···一織さん、ありがとうございます』
一「いえ···私は別に···」
『一織さんって、お裁縫···上手なんですね。ホントに可愛い···』
両手に乗るくらいの可愛らしいサイズのぬいぐるみを何度も撫でては、その可愛らしさにうっとりと見つめてしまう。
『一織さん、ありがとうございます』
一「分かりましたから、もう···やめて下さい」
大「イチ、照れるなよ?」
一「て、照れてません」
大「じゃあ、デレの方?」
一「違います!」
絶妙なツッコミをする二階堂さんと、それを即座に切り返す一織さんとのやり取りが可笑しくて、ここにいるみんなは仲良しなんだなぁと笑う。
小「じゃあ、愛聖さんも来た事だし?そろそろ歓迎の乾杯しようか?あ、もちろん未成年組はアルコールはダメだからね?」
万「愛聖は飲めるんだっけ?歳は知ってるからそこはクリアだけど、お子様だからお酒なんて飲んだ事ない?」
『あ、あるから!全然あるから!』
···ホントはないけど!
舐めるくらいしか!
小「じゃあ、行くよ~!せ~の!」
「「 カンパーイ !! 」」
みんなでグラスを掲げ、それぞれが私に寮へようこそ!と声を掛けてくれる。
とりあえずで配られたビールに口を付けるも、苦い···
なんで大人って、こんなの好んで飲めるんだろう。
でも口を付けてしまったからには、飲んでしまわないと失礼だよね?
そう思って一気にグラスをカラにした所で逢坂さんと目が合った。
壮「随分一気に飲み干してたけど、大丈夫?」
フフッと笑いながら言われ、苦いのが苦手だから···と正直に言うと、それはそれで逢坂さんに笑われてしまった。
逢「苦いのが苦手だったら、僕が何か作ってあげるよ。甘めなやつなら飲めそう?」
『多分、苦いのよりは大丈夫だと思います。けど、作るって?』
逢「簡単なカクテルくらいは作れるよ?···どう?」
『じゃあ、せっかくなのでお願いします』
ちょっと待ってて?と言い残して、逢坂さんがひとりキッチンへ向かうのと入れ違いで二階堂さんが寄って来た。
大「ソウはどうしたんだ?」
『あ、いま甘いカクテルを作ってくれるそうです』