第4章 カケラの眩しさ
一「兄さん、入りますよ?」
リビングの前まで来ると、一織さんがドアをノックして中に声を掛けた。
三「オッケー!一織、入っていいぞ!」
中から聞こえる三月さんの言葉を確認すると、一織さんは私の背中を押してドアの前に立たせた。
一「どうぞお先にお入り下さい、佐伯さん?」
『私···ですか?』
一「ここにあなた以外に佐伯さんという方はいません」
環「マリー、俺···腹減ったから早く」
いつもなら元気にしている四葉さんも、今は何だかソワソワして私がドアを開けるのを待っている。
さ、どうぞ?と繰り返す一織さんに負けて、ドアを開けて一歩中へと入った。
「「 ようこそオレ達の寮へ! 」」
鳴り響く数々のクラッカーの音に続いて、中にいるメンバーが声を揃えて私にそう言った。
『びっ···くり、したぁ···どうしたんですか、これは···社長に、それから万理まで···』
他に出てくる言葉もなくただそれだけを言えば、隣に並んだ一織さんが普段あまり見せない絵顔で私を見た。
一「今日から正式に佐伯さんが寮で生活を始めると言うことで、みんなで歓迎会をしようと考えていたんです」
『歓迎会···』
環「そ。だから俺、マリーの足止め係だった。ヤマさんが、俺が適役だからって言ってた」
足止め係···その割には本格的に部屋の掃除をした気がするけど。
あの散らかり方は時間を稼ぐ為のフェイクだったの?
そのわりには、どこになにを片付けたらいいかっていう逢坂さんの手際が良かったような···?
それとも、ホントに普段からあの散らかり方してるの?
思わず眉を寄せてしまいそうになるのを堪え、なんとなく四葉さんの方を見た。
環「ほら、今日の主役はマリーだろ?」
紡「そうですよ!さ、どうぞ中へ!皆さん、すっごく待ち遠しかったんですよ?」
『紡さん···』
早く早くと紡さんに手を引かれ、おずおずと中に入る。
そこには色とりどりの折り紙などで飾り付けられた壁や窓、そして···そこかしこに置いてある可愛いマスコットなどで賑やかになっていた。
陸「愛聖さんの席はここ!ほら見て?一織が愛聖さんにそっくりに作った人形があるでしょ?」
『私に?』
一「七瀬さんっ!!」
『可愛く作られてます、私』