第4章 カケラの眩しさ
一「四葉さんに佐伯さん!いったい何をしてるんですか!!」
突然ドアが開けられて一織さんが飛び込んで来たことに私達は驚いた。
環「いおりん、そんなに焦ってどーした?」
一「どうしたって、四葉さん達こそ何を···ってゲーム、ですか?」
ポカンとする私達を交互に見て、一織さんもモゴモゴと口を籠らせる。
環「おぅ、マリーとゲームしてた。マリー、ヘタだけど頑張ってた」
『だからそれは!四葉さんが変な所にトラップとか仕掛けるからです!まんまと何度も引っかかったし···いろんな所にバナナトラップとか置いて私を攻めてくるし』
曲がり角とか、坂道とか!
そこを通る時にタイミングよくトラップ発動指せるから避けきれなくて自滅したり。
環「だってしょうがねぇじゃん、そこで攻めとかないとマジで俺ヤバかったし」
『四葉さん、そう言ってピンポイントに攻めるから私全然勝てなくて、思わず声を出しながらゲームしちゃいました···あの、一織さん?聞こえてます?』
フルフルと小刻みに震えながら下を向く一織さんに、座ったままの私が覗く。
一「レースゲームでそんな艶かしい声を上げないで下さい!···紛らわしいんですよ!!」
環「いおりん。艶かしいって、なに?」
一「四葉さんは掘り起こさないで下さい!」
『一織さん、とりあえず落ち着いて?』
一「私はいつも冷静です」
いや、ちっともそうは見えませんけど···
しかも、艶かしいって···どの辺りが?
だけどそれを聞いたら一織さんがまた怒りだしそうだから、今は黙っておこう。
『そう言えば、一織さんは四葉さんに用事があってここへ来たんじゃないんですか?』
私がそう声をかけると、一織さんは小さな咳払いをして私達に向き直った。
一「兄さんが、食事の用意が出来たので私に2人を呼んで来るようにと」
『食事、ですか?でもまだ早めな時間の気もしますけど···』
一「今日は全員揃っているのでこの時間になりました」
今日は···って事は、普段は違う時間なんだよね?
たまたま全員が揃ってるから、とか?
『分かりました。四葉さん、そういう事なのでゲーム片付けましょう』
環「ん、わかった」
2人で手早く片付けて、一織さんの後を着いて私達は四葉さんの部屋を出た。