第17章 見えない未来
もしかしたらと思って来てみた場所に、みんながいた。
予想外に楽や龍もいたけど、それはどうやら偶然居合わせた様子で。
『それより楽や龍はここで何してたの?』
龍「オレは事務所を飛び出して行った楽や天を追い掛けて来たら、たまたま環くんを見掛けて声を掛けたんだよ」
『事務所を飛び出したって、また楽は天にケンカでも売った?』
楽「なんでいつも俺が悪い側なんだよ」
『だって、楽が天も揉める時はだいたいそうじゃん?』
過去のいろいろを思い出しながら言えば、楽はうるさいと眉を寄せる。
やっぱり、こういう時の楽は八乙女社長によく似てる。
笑った時の目元なんかは、お蕎麦屋さんのお祖父さんにも似てたけど。
遺伝子って、凄い。
楽「それより愛聖、あの2人何話してんだろうな」
視線だけで指し示す方を見れば、そこには見慣れた人影が並んでいて、それが七瀬さんと天だと分かるには時間は掛からなかった。
珍しい組み合わせと言えばそうかもだけど、事実として七瀬さんと天は双子の兄弟でもあるから一緒にいること自体は不自然だとは思わないけど・・・
『気になってアレコレ考えてるくらいなら、七瀬さんたちにも声掛ければいいのに』
楽「そりゃまぁ、そうだけど。もし深刻な話でもしてたらとか、考えるだろ」
『深刻な、話・・・それって、TRIGGERとアイドリッシュセブンのセンターを交換しよう!うん、そうしよう!とか?』
楽「なんでそうなる!TRIGGERのセンターは天しか認めねぇよ」
一「こちらだって同じです。アイドリッシュセブンのセンターは、七瀬さんだけです。たとえどんなに大金積まれたってお断りです」
・・・冗談だったのに、なんでそんなに怒るかな。
大「愛聖?お前さんも空気読んでから冗談言えよ。今のはブラック過ぎてお兄さん笑えない」
そう言いながら二階堂さんはクスクスと笑い、リクが風邪ひく前に連れて帰りますかね~と歩き出し、みんなもその後を着いて動き出すと、段々と話し声が届くようになり、そして・・・私たちにまだ気付いていない2人が握手を交わしていた。
天「よろしく、アイドリッシュセブンの七瀬陸さん」
陸「よろしくお願いします・・・TRIGGERの、九条天さん」
いつものピリピリとした感じとは違い、穏やかに七瀬さんの名を呼ぶ天の声が届く。