第17章 見えない未来
「龍、王様プリンって何の話だ?お前、いよいよ餌付けでも始めたのか?」
疑問を隠せない顔のまま龍に言えば、龍は餌付けなんかしないよと笑った。
龍「これはね、愛聖があちこち走り回って体力ゼロになりそうなほどお腹が、」
『わー!わー!龍ストーップ!!』
龍が話し出せば愛聖が慌ててそれを止め、龍が苦笑を浮かべながらもその口を閉じる。
なんなんだ?と今度は四葉を見れば、俺の視線を感じて四葉が話し出す。
環「マリーは俺らを探すのに一生懸命で、みっきーが作った飯まだ食ってなくて、俺たちと喋ってたら、マリーの腹の音が鳴っ、ングッ・・・」
『四葉さんもストーップ!』
環「マリー・・・苦し・・・」
『だって四葉さんが!』
なに、じゃれてんだコイツらは。
三「愛聖、お前の分の夕飯はちゃんと取り分けてあっただろ?それなのに食ってないのか?」
『い、いろいろ事情があって、ですね』
飯食ってないって、なんだ?
一「佐伯さん、まさかまたダイエットだとか言うんじゃないでしょうね?兄さんが作ってくれる食事は、ちゃんと健康管理される食事です。それなのに食べないだなんてありえませんね」
ダイエットが必要な程、なにかあったのか?
そう思って見ても、別に普段と変わりない体型・・・いや、今はいい。
「おい、お前歩けなくなるほど腹減ってんのか?」
『違うから!ちゃんと歩けるし!』
「じゃあ、なんでいつまでも四葉にしがみついたんだ。歩けるならさっさと降りろ」
環「ダメ。降ろしたら王様プリン買って貰えなくなる」
早く降りろと手を伸ばせば、それをサラリと交わすように体を捩りながら四葉が言う。
「よし分かった。龍、お前ちゃんと四葉に王様プリン買ってやるよな?」
龍「約束したからね。ちゃんと環くんに王様プリン5個買ってあげるよ」
「なら、四葉。ここまでの分で龍からそれを買って貰え。ここから先は俺が龍と同じだけそれを買ってやる・・・だから早く愛聖を降ろせ」
環「がっくんも買ってくれんのか?!ってことは、リュウ兄貴から5個で、がっくんから5個だから・・・マジで?!王様プリン10個じゃん!絶対買ってくれんのか?!」
こいつ、どんだけ好きなんだ・・・王様プリン。
それより、がっくんってなんだよ。