第4章 カケラの眩しさ
逢坂さんを呼びに来た七瀬さんが、三月さんからの言付けを伝え、ふたりで部屋を後にした。
お手伝いするよって言ったのに、それでもふたりは私に···この部屋を頼むね?と笑顔を向けていた。
まぁ、お掃除上手な逢坂さんのおかげでほとんど終わってしまったから、これと言って私にはこれ以上この部屋にいる理由もなく。
『四葉さん。お掃除終わっちゃったし、洗濯物がたくさんあるから···私ちょっと洗濯機を仕掛けて来ますね?』
両手に抱えきれないほどの洋服を持ち上げようとすれば、四葉さんが慌て出す。
環「ちょっと待った!いまどっか行かれたら、俺が困る!絶対困る!な、もうちょい居てよ」
『困るって言われても。だけど、それじゃ洋服が片付かないし···』
環「いい!大丈夫!洋服着れるのまだあんし、制服のシャツも予備あんし!···あ、そうだ!ゲームしよう、ゲーム!なっ?!」
ゲーム···って言われても。
『あ、それならさっきの65点のプリントの復習を、』
環「ゲーム!絶対そっちのが楽しいし!勉強は明日やる!超やるから!」
『そこまで言うなら···じゃあ、明日から絶対プリント学習しましょうね?それなら少しくらいゲームにお付き合いします···ただ、私ゲームなんてほとんどやった事ないから、きっとヘタですよ?』
環「大丈夫!俺が教える!」
そんな流れで四葉さんとテレビゲームをする事になったんだけど···
環「マリー···ヘタ過ぎ···また死んだ」
『だから最初にヘタですよって公言したじゃないですか。なのに四葉さん、いきなりアクションゲームで対戦しようとか言うから』
環「だってそこまでヘタだとは思わなかったし」
『すみません···でも練習して、いつか四葉さんをギャフンと言わせられるくらいに頑張ります』
環「俺、ギャフンとか言ったことないけど」
物の例えです!と興奮気味に返して、ふたりで笑う。
環「んじゃさ、これは?レースゲームだったらコマンドいらねぇし、マリーでも楽しめんじゃね?」
『レースゲーム···それなら私、一応は車の免許持ってるので大丈夫かも』
環「マリー、車運転できんの?スゲーな、大人じゃん」
それが大人なのかは分からないけど、私の場合は八乙女社長に仕事で必要になるからと教習所に通わされただけなんだけど···ま、いっか。