第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
「あれ、壮五さんは?」
ついさっきまでいたはずの壮五さんが見当たらず、キッチンで忙しくしてる三月に声を掛けた。
三「壮五なら環の部屋に行ったぞ?愛聖に環の部屋の片付けのアドバイスをするの忘れたって。なんか用事でもあったのか?」
「そういう訳じゃないけど、いつもキッチンにふたりでいるのに見当たらないなって思ったからさ」
だってこの寮の中で、ちゃんとしたご飯が作れるのって三月と壮五さん、それから一織だけだから。
壮五さんの場合は···なんかちょっと、辛いけど。
大和さんも料理はするけど、ご飯ってよりもお酒飲む時のツマミ?みたいなのが多いし。
ナギはよく分からない調味料とか欲しがるし、環やオレに至っては料理なんて未知なる世界だからね。
三「だけど、壮五がいないと手が足りないよなぁ。陸、ちょっと呼んで来てくんねぇ?一織達は飾り付けさせてるし、こっちがオレ一人ってのは厳しいからさ」
「わかった!すぐ呼んでくるね!」
オレも飾り付け班だけど、今はそれほど忙しくないから平気だろ?
そう思って環の部屋の前まで来ると、中からは騒がしい会話が聞こえてくる。
環「そーちゃん!そーちゃん、ちょっとタンマ!それ片付けちゃダメなやつ!俺が寝る時、その王様プリンのぬいぐるみないと落ち着かない!」
壮「片付けてるわけじゃないよ、ベッドメイクをするのに邪魔だから」
環「邪魔って言うな!俺の王様プリンなんだから!」
『四葉さん!そんなこと言ってないで、ほらそこ!ちゃんとプリントの選別して···あ、いま何か隠したでしょ!···出しなさい、チェックします!』
環「わっ!み、見んなよマリー!見るなって!」
『65点···四葉さん、これは捨てないで下さい。明日から毎日、少しずつでも私がみっちり教えてあげます。私が嫌だったら、一織さんにでもお願いします』
環「ゲッ···いおりんはちょっと···ムリ」
なんか、どうなってんだ環の部屋の中は。
それに、いつの間にか壮五さんまで掃除しちゃってるし。
でも三月には壮五さんを呼んで来いって言われてるしなぁ。
迷いに迷いながらも、オレは環の部屋をノックしてドアを開けた。
環「りっくん助けて!俺ヤバい!いおりんに怒られる!」
環、それは多分···何かが65点だからだよ。