第4章 カケラの眩しさ
『あっ、ちょっと一織さん?!歩くのさっきより早すぎます!』
無言で早足で歩く一織さんの耳は、さっきよりも赤みを増していて。
そして、繋がれた手の暖かさも、少しずつ上昇しているようにも感じた。
環「あーっ!いおりんズリぃ!オレも!オレもマリーと手ェ繋ぐ!」
先を歩く四葉さんが騒ぐ私を振り返り、自分も!と私の手を掴んで駆け出した。
『ちょっと2人とも!これじゃ私が』
スラリと長身の2人に両手を繋がれた私は、真ん中でひとり小さくて。
一「まるで捕らわれた宇宙人、とでも?」
環「マリー、宇宙人役になりたいのか?」
『ちがーう!』
思わず声を上げると、両方から楽しそうに笑う声がする。
環「なんかこれ、楽しいな!いおりん、もっと早く走って、りっくん置いてきぼりにしよーぜ?」
一「そんな事したら七瀬さんが拗ねますよ?」
『この状態で私にも走れと?!』
既に早歩きにも追いつかないくらいになってるのに!
環「へーき。拗ねたらヤマさんが何とかしてくれる。多分、そーちゃんにはちょっとだけ怒られるかもだけど」
あの逢坂さんが怒るの?!
いつもニコニコと穏やかな逢坂さんからは想像もつかないけど。
一「怒られるのが分かっているのなら、やめましょう」
環「ん~···でも楽しいから走る!行こうぜ!」
一「仕方ありませんね。怒られるのは四葉さんだけにして下さいよ?」
『えっ、嘘でしょ?!』
私の声も届かず、2人が駆け出した。
陸「あーっ!なんでみんなして走るんだよ!!オレを置いてくなぁーっ!!」
チラッと後ろを振り返り、七瀬さんまで走り出したのを見て一織さんの顔を覗き見る。
『ホントにいいんですか?』
一「あなたには七瀬さんが、それほどまでに非力に見えるんですか?」
『えっと、買い物したのはほとんど私なのにって』
環「マリー、そこ段差ある!せ~の、ジャンプ!」
『あっ、はい!』
四葉さんの掛け声でタイミングよくジャンプする。
あれ···なんかコレ楽しい?!
環「ナイスジャンプ!マリーちっこいから面白い!もっかいやろうぜ!せ~の、ほら!」
ジャンプする度に両手を上げられフワリと浮遊感を楽しむ。
それは寮に着くまで、何度も何度も体験出来た。
···最高に楽しい!