第16章 動き出した真相
どうしようかな・・・と少し考えて、結果、私がミスった事だからと紡さんに事務所の鍵を貸して貰えないかと聞いてみる。
紡「それは構いませんが・・・もしかして愛聖さん、おひとりで行かれるつもりですか?」
『まぁ、事務所までならほぼ直線みたいなもんだし、真夜中じゃないんだから大丈夫じゃないかな?ほら、街灯もちゃんとついてるし』
紡「ですが・・・女性をひとりで、しかも愛聖さんは・・・」
私を見ながらもその後の言葉を濁すように口を閉ざす紡さんは、きっと以前起きてしまった事を心配してくれてるんだろうと予想する。
一「それなら、私が同行しましょう。真夜中ではないと言っても夜は夜ですからね。例え佐伯さんと言えども、女性がひとり歩きするには少々遅い時間とも言えますし」
一織さん・・・例え私でもって、どういう事でしょうかね。
『大丈夫ですよ。それに紡さんだってここへ来るまでは1人だったんでしょ?何かあったらすぐ誰かに連絡出来るようにスマホもちゃんと持ち歩くし』
一「何かあってからじゃ、遅いと思いますけどね」
チラリと冷ややかな視線を私に投げては、一織さんがため息を吐く。
『と、とにかく!せっかく高級お菓子と美味しいコーヒーがあるんだし、紡さんがいるならスケジュールの打ち合わせも兼ねられるし?』
ね?そうだよね?と二階堂さんに同意を求めれば、二階堂さんも渋々ながら、そういう事にしとくか?と一織さんを納得させる。
大「ただし、ここから事務所までの往復時間を考えても、せいぜい30分そこそこだろ?それを超えても戻らないようなら、ここにいるフルメンバーで迎えに行くからな?」
『了解です!じゃ、遅くならない内に猛烈ダッシュで行ってきます!』
一「いつもみたいに転んでケガをしないようにお願いしますよ」
・・・はい。
最後のひと言に冷や汗を流しながらも紡さんから鍵を貸して貰い、急ぎ足で事務所へと向かった。