第16章 動き出した真相
紡「先日のサウンドシップでのTRIGGERの代役の事で、テレビ局から皆さんにと豪華なお菓子が届きました」
あの一件から数日立って、わざわざ番組プロデューサーが事務所へ高級お菓子の詰め合わせを届けてくれたそうで、それを紡さんが寮まで持って来てくれた。
環「高級お菓子?!ヤベー・・・マネージャー、もう食ってもいい?!」
壮「環くん!さっき夕飯を食べたばかりじゃないか・・・」
環「だって別腹あんし。な、マリーも別腹あるよな?」
まるでお菓子を食べる仲間を増やしたいかのように、四葉さんが私を誘う。
『別腹・・・女子はきっと、みんな別腹はありますよ?ね、紡さん?』
別腹があるのは私だけじゃないと言い訳するように、私も四葉さんのように紡さんを巻き込めば、紡さんは笑って、女の子はそうですね・・・とその包みを開けてくれる。
大「タマはしょうがねぇなぁ・・・じゃ、とりあえずマネージャーもいる事だし、軽くコーヒーでも飲みながらって感じで」
三「しょうがねぇのは大和さんもだろ・・・環に最近甘いんじゃねぇのか?」
そう言いながらもキッチンに入って逢坂さんとコーヒーの準備を始める三月さんも、同類な気もするけど。
そんな微笑ましい光景に表情を緩ませながらもイスに座り、自分の今後のオーディションスケジュールを確認しようと手帳を出そうと鞄を開ければ、チャリ・・・と音をさせて車の鍵がある事に気付く。
『あっ、いっけない・・・事務所の車を借りて買い物行ったのに、鍵を返すの忘れちゃってる!確か明日の朝いちばんに経理の人が車使うって万理が言ってたのに・・・』
部屋にちょっとした収納ケースが欲しくて、万理にお願いして事務所の車を借りたのに鍵を返し忘れるとか・・・早く返しとかないと万理に怒られちゃう、よね?!
紡「それなら私が今から事務所に戻って鍵を戻しておきましょうか?事務所のドアの鍵なら私も持ってますし、私がここに来る時に万理さんも社長と急ぎの用事があるとかで事務所はもう戸締りしてしまっているので」
三「でもマネージャーの分もコーヒー入れてるぞ?飲んでからでもいいんじゃないのか?」
紡「事務所までの往復ならすぐですから、またここへ戻ったらいただきます」
紡さんの申し出はありがたいけど・・・そもそも私が返し忘れたのに、それじゃ申し訳ないし。