第4章 カケラの眩しさ
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
最近全然触ってなかったから、上手く弾けるか心配したけど···間違えることなく弾けて良かった。
フッと息をつき、元あった場所へとそれを片付ける。
ドアの向こう側では、ゴソゴソと物音がしてるけど···あれは今頃、愛聖が慌ててベッドに潜り込んでるんだろう。
バレてないって思ってる所が、まだまだ可愛いところだけど。
込み上げてくる笑いを堪えながらドアをそっと開け、ベッドに腰を下ろした。
「もう、寝てる?」
『寝てるにゃん···あっ···』
にゃん、って···ダ、ダメだ···笑うな···耐えろ俺!
「わざわざ寝たフリとかしてくれちゃって、律儀だなぁ···愛聖は」
口元を手で隠しながら言えば、バレてる事を観念したのか愛聖が起き上がり、モゴモゴと言い訳を始め
た。
『だって···さっきのは猫さんで、私は寝てなきゃで。なのに万理が、』
目を泳がせながら言う姿が可愛らしくて、つい···その小さな肩を抱き寄せた。
こんなタイミングで謝るのはズルいとは思うけど、さっきのは明らかに俺の···八つ当たりだから。
そう思って正面から愛聖の顔を見て、謝った。
『ずっと、歌う事をやめてたの?···あんなに、優しく歌えるのに』
「まぁ、ね。でも、これからは···愛聖が聞きたいって時は歌う事にする。実は今、ちょっとだけ楽しかった···猫さんに聞いて貰うのが」
優しく歌う···なんて言われて照れくさくて、笑ってごまかしながら言えば、愛聖はポンっと俺の胸を叩いて顔を隠すように体を寄せてきた。
『2曲目、びっくりしたんだからね。どうしてあの曲を?』
愛聖が出てた映画のタイアップ曲を弾き語りした事を聞かれ、どう答えようか迷いつつも正直に答えてしまった。
「千が···作った曲だから、かな。それに映画も見たし、Blu-rayだって実は持ってる。何度か見たけど、見る度に泣けるから封印中」
人見知りで天邪鬼な千が、あんな愛をテーマにした曲を作るようになってたなんて、感動だったからね。
『万理はホントに、千が大好きなんだね···』
ちょっと呆れたように愛聖が笑いながら俺を見上げる。
千は、オレの大事な···パートナーだったからね。
だけど···