第1章 兵長の身長がめっちゃ伸びた話
食堂に現れたリヴァイの姿に、一斉にどよめきが起こった。
「リヴァイ…兵長だよな…?」
兵士達は口々にささやく。
どこからどう見てもリヴァイである。だが、にわかに信じられないのは、その身長のせいであった。
「…180cmくらいはあるんじゃねぇ?」
ザワザワとする食堂を、リヴァイはゆったりと歩いた。つり上がってしまう唇をおさえる事ができない。
皆からの視線を強く感じる。
(俺は…こんな日が来るのを待ち望んでいた……!!)
リヴァイは今すぐにでもガッツポーズを決めたい気持だった。そして何よりも、一刻も早くこの姿を見せたい相手がいる。
リヴァイはきょろきょろと食堂内を見まわした。すると、窓際の席でこちらを見ているの姿が目に飛び込んできた。リヴァイと目が合った瞬間、ポロ、とその可愛らしい口からパンが転がり落ちる。
嬉しさからつい早足になってしまいながら、リヴァイはツカツカとのもとへと歩み寄っていった。
イスに座るの前に立つと、はそのコバルトブルーの大きな瞳でリヴァイを見上げた。
「リヴァイ…先輩…ですか??」
「なんで疑問形なんだ」
「だ、だって…その、身長がいつもと随分違うように思います…」
は困惑しているのか、それとももっと別の感情が働いているのか、いつものように目を合わせようとしない。 少し目をそらしながら話している。
「やぁやぁ、おはようリヴァイ!効果はてきめんのようだね!!」
ニコニコと、食事の乗ったトレーを持ってハンジが歩いてきた。
「…てめぇ、また薬を盛りやがって…」
「ん?私何か悪い事した??」
いつもは見上げているハンジの顔が、今は自分より下にある。たかが数十センチ身長が違うだけで、こんなにも優越感があるものなのか。
「…いや、悪くない」
リヴァイは言って、の隣に腰を下ろした。