第2章 キス魔
が眠りこんでから、どのくらい経ったか。
他の兵士達もみないい気分になってきた頃、ぺトラはふと、にかけられている上着がずり落ちてきてしまっていることに気がついた。
子どものような顔をして眠るに微笑んで、ぺトラは上着をかけなおしてやる。…と、その時、がむくりと起き上った。
「あ、班長、起きました…」
ペトラが言い終える前に、の腕が首に回され、ぺトラの白い頬にちゅっと唇が押し当てられた。
「ペトラ、大好き~」
ふにゃっ、と頬をピンク色に染めたが笑った。
「……!!!」
ぺトラはに口づけられた頬をおさえて、思わず顔を真っ赤にした。
言葉を失ったのはペトラだけではない。そのテーブルにいた全員が、一瞬言葉を失った。
だが、今のにはそんな空気を読む事はできない。
ペトラから離れると、フラフラと今度はエレンに近づいていった。
「エ~レ~ン~」
両腕を差し出して近寄ってくる。その動きはひどく緩慢であるため、避ける事など容易である。だが、エレンは淡い期待を捨て切れず、つい、その場にとどまった。
がその身体に抱きついた…が、それはエレンの身体ではなかった。
シュンッ、と残像が見えそうなほどの素早さで、リヴァイの身体がエレンとの間に現れたのだ。なので、が抱きついているのはエレンではなくリヴァイだ。 しかし完全に酔っぱらっているは、それに気がつかない。
「エレンも大好きだ~」
ちゅっ、とリヴァイの頬に口づけた。
リヴァイは満足げな顔をしている。
((へ、兵長おおおぉぉ!!あなたという人は……!!))
それを見ていた全員が心の中で叫んだ。