第1章 先輩、じゃなくて名前で呼んでみろ
そう唐突に言うと、先程までよどみなく話していたのがウソのように、は目に見えて狼狽し始めた。
白い頬にはうっすらと朱が差し、淡いピンク色になっている。宝石のようなコバルトブルーの瞳が、落ち着きなくキョロキョロと動き回る。
「先輩のことを、ですか?!」
「そうだ。名前は知っているだろう」
「それは・・・当然存じておりますが・・・」
「なら、呼んでみろ」
「えぇっ・・・」
顔を赤くして、オロオロとうろたえる姿。そんな姿すら愛おしいと感じてしまう。
「名前で呼ばなければ、会議には出ないぞ」
「そんなっ!?」
腕組みをして立つ俺を、は困った顔をして見つめてくる。
(あぁ、そんな顔で見つめるな。今言ったことを取り消してやりたくなっちまう・・・)
「リ・・・」
「ん?」
栗色の髪の間から覗くの小さな耳が赤い。
「リヴァイ・・・先輩」
「おい」
「リヴァイ・・・・・・さん」
伏し目がちだったが顔を上げて、正面から目が合う。
(・・・これは、やべぇな)
ワシワシとの頭を撫でながら、リヴァイは自分の頬が火照るのを感じた。