第4章 卒業
訓練兵時代にも、が泣いた時にリヴァイはこうして慰めてくれた事があった。
と言っても、肥えだめに落ちた時の只一回だけであるが。
訓練兵時代、が人前で泣きべそをかいたのは、あの時だけだ。
はしばらく泣いていたが、その間ずっとリヴァイはその小さな頭を撫でてやっていた。が泣きやむのを、急かすことも怒ることもなくじっと待っていてくれた。
ひとしきり泣いた後、は(また先輩の前で泣いてしまった…)と自分を恥ずかしく思いながら、リヴァイに謝った。
「…す、すいませんでしたっ!ありがとうございます!」
「あぁ…、まぁ、とりあえず座れ」
リヴァイに促され、恐縮しながらもはベンチに腰掛けた。
その隣に、リヴァイも腰を下ろす。
隣に座るリヴァイはしばらく黙っていたが、ふぅと息を吐いてから、話し始めた。
「所属兵団は、もう決めたのか」
視線を向けてきたリヴァイと、の目がかち合う。
「はい、…調査兵団に入りたいと思っています」
の言葉に、リヴァイは驚いたように一瞬目を見開いた。
だが目の前に座るの目には、強い決意の色が見て取れたので、リヴァイは、ふぅともう一度息を吐いた。
「決めたのか」
「はい、もう心に決めました」
「そうか…。なら、いい」
リヴァイはふと空を見上げた。夜空がとてもキレイだ。
リヴァイは多くを語らない。それが彼の良さであり、強さであった。
そんなリヴァイには(やっぱり格好いいな)と、ますます尊敬の念を強めて、その横顔を見つめたのだった。