第7章 勝てない相手
当然のことながらの力程度ではリヴァイはびくともしない。の頑張りに対して申し訳ないのだが、リヴァイは少しも腕に力を込めていなかった。
だって自分がリヴァイに敵うはずないことは分かっているはずなのだが、なぜか必死になっている。一体エルヴィンからどんな条件を出されたのだろうか。
リヴァイは細心の注意を払って、ほんのちょっとだけ腕に力を入れた。するといとも簡単にの細い腕はぐらりと倒れていく。
(悪いな…、だがこれに勝たねぇと出入り禁止になっちまうからな。一週間もなんて俺には我慢できねぇ)
グググと倒されていく腕。もう終わると思った時だった。
「うぅ~!リヴァイさん~っ」
ハッとして顔を上げれば、必死に腕に力を込めて目を潤ませたがこちらを見つめていた。
その瞬間、リヴァイの腕は反対側に勢いよく倒れていた。
一瞬の沈黙の後、いち早く状況を把握したアルミンが試合結果を大声で宣言した。
「しょ、勝者はさんっ!!」
わぁっと歓声が上がる中、何が起こったのか分からずにキョトンとしているにリヴァイが言う。
「俺の負けだ」
指を絡めるようにして手を握り直すとは顔を赤くして俯いたが、恥ずかしがって手を振りほどくことはしなかった。
遠慮がちにぎゅっと握り返してくるのが分かって、そのいじらしさに思わずリヴァイまで下を向いてしまったのだった。きっと今自分は、人に見せられないような顔をしているだろうから。
「リヴァイさん、ありがとうございます」
「…さっさと帰るぞ」
もう、いい加減我慢の限界だ、とリヴァイは心の中で悶えた。
こんなに可愛いのは反則だ、今すぐ抱きしめたい。むしろ先ほどの試合中だって、そっちの衝動を我慢するほうが大変だったのだから。