第1章 出会い
兵団本部の廊下を歩いていたリヴァイは、ふと、シャツの袖のボタンが取れていることに気がついて眉間に深いシワを寄せた。
「ちっ…気になるな」
元来、潔癖気味で几帳面な性格のため、一度気になってしまうとたかがボタン一つの事でも気になって仕方がない。かといって、自分で付けることはあまり得意ではない。
リヴァイの表情はいつも以上に険しさを増し、廊下ですれ違う兵士達は皆、不穏なオーラをまとう兵士長の様子に冷や汗を流しながら、なるべく近寄らないようにしてすれ違っていく。
ボタンが取れているなど、この上なくみっともない。早急に直すか、着替えるかしなければと思案していたリヴァイはふと、兵団には「衣類修繕室」がある事を思い出した。
業務上、激しい動きを要求されるため、ズボンが破れたりシャツが汚れたりなどは日常茶飯事である。特に調査兵団などは、壁外調査の無い時であっても訓練などで激しく動くため、余計に衣類は痛みやすい。
何という偶然か、横を見ると「衣類修繕室」の看板が掲げられた部屋の前に立っていた。