第2章 衝撃の事実
血なまぐさい事件が絶えない中、エレンには心安らぐお気に入りの場所があった。兵団本部の一角にある、「衣類修繕室」である。
部屋の主は若く美しい女性で、整った容姿に華奢な肢体、笑うと花のように可憐な女性であった。
初めて衣類修繕室を訪れたのは数ヶ月も前の事だ。訓練中、木にズボンを引っ掛けて破いてしまい途方にくれていたところ、兵団内には衣類を直してくれる部署があると同期から教えてもらって初めて訪れたのだ。
ここは日当たりの良いこじんまりとした部屋で、いるだけで心が安らいだ。
今日もまた、エレンは破れたシャツの修繕依頼に来ていた。ミカサ、アルミンも一緒である。
すっかり顔なじみになったエレン達に、部屋の主・は温かいココアを出してやった。
「あ~、いつ来てもここは心が落ち着くなぁ~」
エレン達はニコニコとして、無邪気にココアを飲んでいる。
は10歳ほどエレン達より年上であるが、小柄なうえに童顔のため実際の年齢よりもずっと若く見えた。何くれとなくエレン達の世話を焼いているため、彼らにとっては良いお姉さんのような存在になっている。
エレン達のように、特段用がなくても押しかけてくる輩が他にもいるのだろう。部屋にはフカフカと座り心地のよいソファが置かれており、そのせいでつい長居してしまうのだった。