第12章 初めて見る恋人の表情
「…柏木課長を殴ったのは俺じゃねぇよ」
「…え……」
「昨日あんな現場を見られた後じゃ疑われても仕方ねーけど…いくら何でもそんな馬鹿な事する訳ねぇだろ」
「……、」
呆れたようにそう言う先輩。
ホッとしたと同時に、彼を少しでも疑ってしまった事に罪悪感を覚える。
それから彼は、これまでの事情を詳しく話してくれた。
去年までうちの部署にいた菊池くんが、柏木課長から謂れのないパワハラを受けている事。
先輩はその件について、昨日課長を問い詰めていたらしい。
菊池くんは私もよく知っている人物だったので、彼の面子を守る為にも先輩は私に話す事を躊躇っていたとの事だ。
後輩思いの彼…それなのに私は疑うどころか、彼の事を『恐い』とまで思ってしまった。
「…納得した?」
「はい…」
私の返事を聞いて安堵の息を漏らす彼。
そして私の体に凭れ掛かってくる。
「せ、先輩…?」
「良かった…このままお前に嫌われたらどうしようかと思った…」
「……、」
その言葉にズキンと胸が痛んだ。
事情も聞かず彼から逃げるような真似をして…こんな事なら、最初から彼にちゃんと確かめれば良かった…
「…ごめんなさい」
ぎゅっとその大きな体を抱き締める。
いつも余裕綽々で何でもこなしてしまう彼も不安になる事があるんだ…
そう思うと、余計に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「いいよ…ちゃんと話さなかった俺も悪いし」
「…先輩……」
(やっぱり彼は優しい…)
けれど、そう思い直したのも束の間…
「きゃっ…」
不意にお尻を撫でられる。
思わず彼の顔を見上げれば、その口元には不敵な笑みが浮かべられていて…
「せ、先輩…?」
「俺を疑った事は許すとして…俺から逃げた事に関しては、きっちり償ってもらわねぇとな?」
「…!」
「この後たっぷり、俺の部屋で躾直してやるよ…」
「ぁっ…せ、先輩…っ…」
2人でシャワーを浴びた後…
ベッドに転がされた私は、全身を隈無く彼に愛撫されていた。
手の平、指先、熱い舌…彼のその全てが私をどんどん追い詰めていく。
「…まだイくなよ」
「っ…」
そんな無茶な事を言って、彼は私のアソコを愛撫し始めた。
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