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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第4章 春、ネコの玉転がし。




「レーヴォ…チカ?」
「少しだけ、このままでも、いい?」

あったかくて優しい手。
ぐいと掴まれた手はそのまま。
反対の手は腰に回り引き寄せられた。

「うん…」

すりりと頬を寄せれば聞こえる心臓の音。
とくんとくんと早い音が心地良い。

腰の腕が緩み、腕を掴んでいた手が離れる。


もう終わっちゃうのか


そう思ったのもつかの間。
腕を掴んでいた手が私の後頭部に触れる。

近づくリエーフの顔。
とっさに瞑った目。
少しの間の後、くちびるに柔らかなものが触れた。
数日前、触れたことのある感触にどきり、と胸が高鳴る。
小さなリップ音を鳴らしながら唇に吸い付くリエーフ。
どうすれば良いのかわからなくてブレザーにしがみつくと、す、と唇が離れた。

おわり、と思った。
でも違った。

唇に先ほどとは違うぬるり、とした感触。
前は拒んだ舌を、今度は迎え入れるために少しだけ唇を開く。
それに気づいた舌がするりと隙間から入り込み私の歯列を撫でた。

「もすこし…ひらいて…」

唇の隙間から発せられたいつもより低い、いつもより熱っぽい声。
隙間を広げると、その隙間をぬってリエーフの舌が口内に侵入してきた。
逃げ腰の舌に絡みつくリエーフ。
追って絡みつく舌。
押される後頭部。
息継ぎの仕方がわからず喘ぐように口を開けば、容赦なく舌が絡んだ。

「っふ……れー…ちかぁ…」

ブレザーを掴んでいた手に力を込めると、引く舌。
薄く目を開けばエメラルドグリーンの瞳を見開き真っ赤な顔を自らの手で隠すリエーフ。

「れーゔぉ…ちか?」

「アンナッ…!ごめんっ!」


真っ赤な顔のレーヴォチカ。
私に一言謝ると、ローファーを脱ぎ捨てばたばたと自分の部屋のある二階に行ってしまった。
残ったのは初めてのディープキスで腰が抜けた私。

「…へ?」



なぜこうなった…?


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