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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第3章 春、お揃いとアイツ。




右耳に開けたピアスを指でなぞる。
少し痛くて、少し照れくさい。

階段を下りきると、ちょうど出くわす大きな影。

「あ、アンナ!」

早速友達ができたのだろう。
昼休み、どこかに行っていたようで数人の男子と一緒に教室に戻るところらしい。

「リエーフ。もう直ぐ時間だよ?」
「わかってるって。」

周りの男子からは、誰?だの彼女?だのと質問が飛ぶ。
リエーフがそれを否定し姉だと伝えると、お決まりの似てないの嵐。
事情を説明しながら階段を登っていくリエーフに、じゃあねと手をあげる。

「アンナ?」

名前を呼ばれ、振り返る。
ぱちり、目が合った瞬間上がる口元。

そして、
アカをなでる長い指。

”ピアスを撫でるのは「好き」の印”

2人で昨日決めた約束。
早速リエーフは私に好きを伝えてくれる。

さらりと髪をかきあげ、私もアカを見せつける。

”すきよ”

そう、伝えるように私も耳に触れ、笑った。


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