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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第2章 春、入学、早々に大問題。



sideLEV


さっき俺を拒んだ唇が

触れて嬉しかった唇が

いま、自分に触れている。


物心ついたときからずっと好きで
好きになってもらいたくて
俺なしじゃいられないようになって欲しくて

必死にアンナに”好き”の感情を向けていた。

きょうだいだから触れてもいいぎりぎりのラインまで攻めた。

それくらい好きだったから。



さっきアンナが告白されているのをみたとき、こころが苦しくなった。

1番近くにいるのは俺なのに
他の人が知らない、近くにいる俺だけが知っていることがたくさんあるのに

他人に見せる全く知らない顔を見て、すごく悔しくなった。


俺にも見せて欲しい

そう、思ったらいてもたってもいられなくなって
家に連れて帰ってキスをした。

拒まれるのはわかっていたけれど、それでも好きだったから。




だからこの展開にはついていけなくて

柔らかな唇の感触に
ただただ驚いた。




「”きょうだい”でいたかったのに…」






静かな部屋に、アンナの声が響いた。



「好きなんて…言ってあげない。」

そう、ぽそりとアンナは呟く。

「だから、2人だけで伝わる”好き”をつくろ?」

俯いたアンナが顔を上げる。

真っ赤な顔で

潤んだ瞳で

アンナは俺を抱きしめた。







いけないことだってわかってる。
でも、好きな気持ちは止まらない。





だから2人で


イケナイ恋をしよう。



「そうだね、アンナ。」

そう言って俺は、大好きな人の体をぎゅっと抱きしめた。







これから落ちる地獄に目を背けながら。

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