Blutigen Flügeln(進撃の巨人:アルミン夢)
第1章 Blutigen Flügeln
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今となっては半年も前に行われた会話だったが、シャロンにはその時の出来事が鮮明に記憶として蘇った。アルミンの告白の後、周りで聞き耳を立てていた同期達にからかわれたのは良い思い出だ。訓練兵としての生活も終わり、シャロンは調査兵団としての道を歩む事を決意していた。
調査兵として生きている以上、アルミンと二人で過ごせる甘い時間など限られてしまう。特にトロスト区でエレンが巨人化してからは多忙な毎日だ。エレンを生かすか殺すか、そんな話題で兵団のリーダー達は紛争している。重要参考人としてアルミンが呼び出されるのも稀じゃない。
それでも同じ団員であるアルミンとシャロンは共に生きようとしていた。とても青臭いが、食事はもちろん共に食べたし、チャンスがれば手を繋いだり、こっそりキスもした。そうして小さな幸せを二人で作っていたのだ。だが、それも今日で一変してしまった。
「アルミン、私、とっても嬉しかったよ。あの時があったから、今の私があるの。でも、ごめんね。私はあの質問の母親にはなれないみたい。だって」
酸欠に陥ってる擦れた声で、シャロンは言葉を発した。
「だって、どう頭を捻っても切り抜けられそうに、ない」