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【ツキプロ】 ALIVE SOARA中心夢小説まとめ

第4章 Can I...?(大原空)


作曲をする彼の傍ら。
ただ座って待っているしかない私は、手持ち無沙汰で。
「〜〜♪」
鼻歌で同じフレーズを繰り返しながら少しずつテンポを変えていく空を横目で見て、俯いた。




いつもそうだ。
空が作曲タイムに入る時、なぜかちょっとそこで待っててと声をかけられる。
はてなマークを飛ばしながら大人しく待っていたのは最初だけ。
いくら待てども何も言われないから、次からは勝手に家事を済ませたり、好きな小説を読んだりして時間を過ごす。
それでも空は何も言わなくて。まあ当たり前か、作曲に集中しているし。

でも。
部屋を出ていこうとするとヘッドフォンを外しながら向き直り、
「どこ行くの?」
と声をかけてくる。どういうセンサーなんだろう。
「ここで待ってて」
急な用事ではないことを伝えると、また、待っててという言葉。もう、なんなんだほんとに。


そして今日もまた。
いつものように待ってて、と言われて。
今日はほんとにやることがないし、この前買ってきた本も読み終わってしまったところ。お陰でヒマでしかたないから、絶賛作曲中な空のことを考えてしまって。
作曲について私はさっぱり分からない。空の作る音楽に入れ込んでるSOARAのメンバーと違い、譜面も読めなければ知識もない。
だから、ほんとにこの部屋にいる意味が無いのだ。
役に立つ助言もできないし。
なんでここで待ってるんだろう、とまたちろり。空を覗き見る。
「ふー!今日はここまで!」
空が大声をだしながらパソコンのエンターキーを叩いた。
『おつかれ、空』
「ありがと、まひる」
清々しい表情の空に、私は尋ねてみることにした。
『ねぇ空』
「ん、なぁに?」
私が用意して脇に置いてあった水を飲み干しながら空は向き直った。
『私、空が作曲してる間ここで待ってる意味あるかな』
「え?」
『だって私音楽詳しくないし、うるさいだけでしょ?むしろ邪魔じゃないかな、とか』
別に悲観してるわけじゃないけど、少しだけ悲しくなりながら私は尋ねた。そうだ、実際邪魔してるのかもしれない。いや待てって言われたのは私なんだけども。
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