【ツキプロ】 ALIVE SOARA中心夢小説まとめ
第16章 お洒落なカフェもいいけれど(弥生春)
ロケで訪れた小洒落たカフェには、綺麗なお客さん(主に女性だ、)が溢れかえっている。アンティーク調のお飾りのティーカップやお皿なんかに囲まれて、普段ならそっちに目がいくんだろうに、今はこっちばかり見られている気がする。当たり前だろうか?1番奥の席で一般客の視線を感じながらトークするのをどこか冷静に見ている自分がいる。
今でこそ芸能人としての節度とかそういう話が出来るようになったけれど、数年前までは完全に遠巻きから見ている側だった自分がこんなふうに話をしていることが信じられない部分もある。
「弥生さんはこういうカフェいかがですか?」
「はい、すごく素敵だと思いますね。レトロな雰囲気で、どこか懐かしくて。落ち着きます。」
にこやかに笑みを浮かべて、中身は有り体だけれど心を込めて答える。斬新な答えよりも、今はこの雰囲気を伝えることが一番だからだ。想像しやすい言葉や思い浮かべやすい表現を見つけるのは、最初から得意だった。
「ケーキと紅茶になります」
「わぁ、美味しそうですねぇ!」
一緒に来ていたアナウンサーさんが楽しそうに受け取っていて、俺も同じようにいい匂いだなんてニコニコして受けとる。
「いただきます!」
「俺も、いただきます」
ケーキから一口。メロンケーキとストレートに名付けられたそれはメロンのジュレとふわふわのスポンジが折り重なってこれまた優しい味がした。
「ん〜とっても美味しい、甘いですね!」
「そうですね。ふんわり甘くて、優しい味がします。メロンの風味が口に広がって幸せな気持ちになれますね」
あぁ、とても美味しいし、紅茶に対してのコメントも飲む前にある程度決まってるから別に大変だとは思わないのだけど。一般客の視線は相変わらず突き刺さるし、昔の日本とはいえ、洋風レトロなカフェだ。自分とは少し合わないんじゃないかな?なんて思いがピークに来ている。自分とあっているなんて、メロンケーキの色くらいだろう。
今欲しいのはこれじゃない。
心ではそう確信しながら、表情ではおくびにも出さないでロケを続けた。